ストレスへの対処として、
ゲームやスマホに依存する
「そもそも、受験にストレスはつきもの。体調不良やメンタルの不安定さなど、受験を控えた子どもたちには、多かれ少なかれ何かしらの反応が心身に出ます。依存行動は、『ストレスへの対処法のひとつ』でもあるんです」
そう話す前田佳宏先生は、子どもの愛着障害やトラウマなどを専門とする児童精神科医。依存症に悩む子どもや保護者にも数多く出会ってきた。
「たとえば、受験のストレスから逃れるために何かに依存することでしんどい現実から離れることができ、一時的にでも気持ちが楽になれる。それでなんとかバランスを保ち、最後まで勉強を続けられるという子たちもいます。
依存すること自体がダメというわけではなく、本人にとっては、その行動をすることで救いやメリットがあったりもします」
小中高生の場合、手軽にできるゲームやスマホなどのデバイスに依存しやすい傾向がある。一方で、過食・拒食やリストカット、盗みなどの「嗜癖行動」に依存する子もいるそう。手持ちの小遣いが少ない未成年にはさほど多くはないものの、市販薬やエナジードリンクなどに依存するケースもゼロではない。
「たとえばゲームがストレス解消になっている子でも、受験勉強に支障をきたさない程度にプレイしたり、自分でやめられるのであれば問題はありません。
依存症は、自分ではコントロールできず、日常生活になんらかの支障が出ている状態。不安やしんどさをゲームで解消しようとするうちに、ゲームをする時間がどんどん増えていき、やがて睡眠や勉強の時間を削ってまでやらないと気が済まないようになり、保護者が様子の変化に気づくというケースも少なくありません。
『うちの子、依存症かも』と感じても、実際には病院を受診しないと正確な判断は難しい。当の本人が病院へ行きたがらないことも多いものです。
すぐに受診しなくとも、お子さんが通う学校のスクールカウンセラーや、お住まいの県にある精神保健福祉センターや保健所に保護者が相談することも可能です。家庭だけで抱え込まないようにしましょう」