新たな旅のスタートにワクワクしている
──宮沢さんは、アメリカ留学中に事務所に履歴書を送ってキャリアをスタートさせたり、モデルから俳優に挑戦したり、大きく環境を変えることでステップアップしてきた印象があります。4月に29歳を迎えますが、今いる現在地は、どんな場所なのでしょう?
別に数字にこだわっているわけじゃないんです。でも、30歳が見えてきたときに「これからどうしていきたいんだろう」と、節目として考えるときが来ると思うんです。今はありがたいことに忙しくさせていただいていますが、多分、やりたいことに体力が追いついていかなくなったり、歯車が噛み合わずバランスが取れなくなるタイミングが来る気がしていて。
そこでどう軌道修正して、自分の精神と体の状態のバランスを取るかは、きっと、働く人たちみんなが直面すること。
だから、一度ここでちゃんと区切りをつけて、これからどうしていきたいのか、自分と向き合う時間を設けたいと思っているところですね。
──どんな未来を思い描いていますか?
お芝居はもちろんですけど、それ以外にも、どんどん自分の視野を広げていきたいと思っています。やっとコロナも落ち着いてきて、海外に行く時間もできてきたので、いろんな人と話したり、いろんなことを経験したい。
そして、そのことを伝えていきたいと最近は考えています。それをどう形にしていくかは、まだまったく未定ですけどね。
──昨年末はシャネルのお仕事でパリに行かれていましたね。インスタグラムには韓国の俳優、パク・ソジュンさんとの写真もアップされていました。
映像や写真でたくさん見てはいましたけど、初めてパリに行ってみると、たった3泊という短い時間でも、本当に刺激的で。日本からなかなか出られないコロナ禍では、世界がすごく遠く感じてしまうこともありました。
でも、パリで出会ったパク・ソジュンさんはもちろん、いろんな国のクリエイターやPRの方と知り合って、自分の視野が狭かったことを感じました。世界のカルチャーやエンターテイメントが、一気に近く感じ始めましたね。
そもそも僕は、インターナショナルスクールに通っていたり、留学で海外の生活を経験していたりと、いろんな世界や文化に触れる経験をしてきたので、最近、その感覚がちょっとよみがえってきた感じ。これから自分が進んでいきたい道が、ちょっとだけ見えた気がするので、今抱いている気持ちを、どんどん大きくしていきたいなと思っています。
──具体的に行ってみたい場所、見てみたい景色は?
アイルランドです。遠い親戚がアイルランドにいるらしくて。今となっては連絡先も知らないし名前もわからないのですが、自分のルーツでもあるアイルランドを、いつか訪ねてみたいと思っています。
──これからが楽しみですね。
きっと、芸能界に足を踏み入れた約7年のジャーニーが、本当に濃い充実したものだったからこそ、次に進むことができると思うんです。新たなる自分の旅のスタートに、相当ワクワクしています。
取材・文/松山梢 撮影/小田原リエ ヘア&メイク/吉田太郎(W) スタイリスト/松川総
宮沢氷魚
1994年4月24日生まれ。アメリカ合衆国出身。第30回メンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得し、2015年10月号よりメンズノンノモデルとして誌面デビュー。ドラマ『コウノドリ』(2017)で俳優デビュー。以後、ドラマ『偽装不倫』(2019)、連続テレビ小説『エール』(2020)などに出演。初主演映画『his』(2020)にて数々の新人賞を受賞、また、映画『騙し絵の牙』(2021)では、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。 2022年には、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演。 2023年には、映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』、映画『エゴイスト』の公開が控えている。