「コンプライアンスもセーフティもねぇ!」

小沢だけでなく、全キャストがほぼノースタント。だからこそ、手に汗握るスリルと迫力を味わえる。

「この映画には、コンプライアンスもセーフティもねぇんだ。そんなの、今の時代、マネージャーが出てきて止められるよ。『うちの役者がケガするじゃん!』って。

もちろん、吹き替えと本人部分でカットを割って細かくつないでいくと、テンポは出る。だけど、長回しで本人が戦っていると、観客は息を呑んで見てくれるんだよ。

実際、見てくれた人は『ラスト23分は息が止まった』って言ってたね。こういう映画は、メジャーでは作れない。仲のいいプロデューサーが言ってたよ。『やっていいんだ、こんなこと』ってね」

“顔面凶器”小沢仁志「動機が不純なほどトレーニングは長続きすんだよ」。還暦とは思えぬ締まった肉体で120人と大乱闘「コンプラもセーフティもねえ!」_5
『BAD CITY』より

公式サイトには、「本作のために小沢は徹底したトレーニングを行い、強靱な肉体を作り上げた」とある。

「いや、この映画のために特別に何かやったわけじゃないんだ。普段からトレーニングしてるから。強いて言えば、もう何十年も人をぶん殴ってないから、人型のサンドバッグを買って、1年間、ぶん殴り続けたぐらいだな。

マウントを取って相手を殴るときの説得力って、あると思うんだ。だからサンドバッグを寝かせて、ひたすら殴り続けた」

“顔面凶器”小沢仁志「動機が不純なほどトレーニングは長続きすんだよ」。還暦とは思えぬ締まった肉体で120人と大乱闘「コンプラもセーフティもねえ!」_6
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「普段からトレーニングしている」という、その理由が小沢らしい。

「夏になると、20代の若い姉ちゃんと海に行ったりするわけだ。そのとき腹が出てたら、父親かパトロンにしか見えねぇだろ? それが許せねぇから、俺は体を保ってる。

仕事のためにトレーニングなんかしてたら、作品が終わるたびにゆるんじゃうじゃんかよ。こういうのはね、動機が不純なほど、長続きすんだよ(笑)」

後編では、デビューから40年の俳優人生と、数々の武勇伝を紐解いていく。

インタビュー後編>>

取材・文/泊 貴洋
撮影/柳岡創平
場面写真/©2022「BAD CITY」製作委員会

『BAD CITY』(2022)
製作総指揮・脚本/OZAWA
監督・アクション監督/園村健介
出演/小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、三元雅芸、中野英雄、小沢和義、永倉大輔、山口祥行、本宮泰風、波岡一喜、TAK∴、壇蜜、加藤雅也、かたせ梨乃、リリー・フランキー
配給/渋谷プロダクション

「犯罪都市」の異名を持つ開港市で、韓国マフィアがヤクザの組長を惨殺。時を同じくして、五条財閥の会長が無罪放免になる。その判決に裏があると考えた検事長は、特捜班を結成。ある容疑で拘置所に勾留中の元強行犯警部・虎田誠がメンバーに選ばれる。立ちはだかる巨悪との戦い。果たして虎田ら特捜班は、五条を検挙できるのか——。

2023年1月20日(金)より全国公開。新宿ピカデリー同日18時30分〜の回の舞台挨拶に小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、圭叶、山口祥行、加藤雅也、かたせ梨乃、園村健介監督が登壇予定!

公式HPはこちら https://www.badcity2022.com