と、ここまで書いて、全く同じ年に製作された同じアメリカの同じコロムビア映画を思い出さざるを得ません。正式タイトルは長すぎるので省略しますが、スタンリー・キューブリック監督の『博士の異常な愛情』(1964)※です。ほぼ同じシチュエーションだけど、『未知への飛行』はシリアスなポリティカル・フィクション・ドラマで、『博士の異常な愛情』はブラックコメディなのです。冷戦下での些細なミスやトラブルが、命令を遵守すべきシステムの呪縛によって最悪の結末を迎えるという、あの時代に空想できる悪夢が見る角度によってこうも違う映画になるのか?という、映画という表現の奥深さを垣間見られる対比。 ※『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(原題:Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)