「ハイパー小学生!?の巻」(ジャンプ・コミックス第82巻収録)
今回は、電脳時代の訪れを先取りして登場した小学生、電極プラスが派出所を訪れるお話をお届けする。
電極プラスは、感情の起伏をほとんど見せず、電子機器にベッタリと依存する小学生として描写されている。
本作が描かれたのは1992年。1989年に任天堂の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」が発売され、子どもたちが携帯端末的なモノを手に、家やゲームセンターの外でゲームに興じるようになった時代だ。また、Windows95の登場やインターネットの普及といった新たな日常の到来の少し前でもある。
プラスは、そんな時期の「テクノロジーにまみれて子どもらしさを失った子ども」像を背負って登場したようにも思える。事実、彼は小学生にして仲間と起業し、株の取り引きでは天下の中川グループを脅かすほどの存在感を見せつけるようになる。
だがその一方で、彼は両さんと年齢を超えた友情を育んだり、超神田寿司の末娘・擬宝珠檸檬(ぎぼし・レモン)に淡い恋心を抱いてドギマギしたりと、次第に少年らしさを付加されていった。そう、「いまどきの子どもだって昔と同じ子どもだよ!」という両さん、いや、作者の秋本治先生の思いが込められているかのように。
なお、本作の時点では彼の姓名は不明。明らかになったのは、父・電極スパークが登場する「ハイパー社長!の巻」(ジャンプ・コミックス第85巻収録)でのことだ。
スパークは、プラスが背負っていた現在における携帯端末の機能をランドセル化したようなガジェットの開発者。極端なハイテク至上主義者で、息子の人格形成に多大な影響を与えている。
それでは次のページから、ハイテク世代の申し子、電極プラスの初登場話をお楽しみください!!