覚えていますか、アリシア・シルヴァーストーン
1996年の表紙メンバーは、超大物をのぞくと今ではほぼ見かけなくなったスターが多い。5月号のクリスチャン・スレーター(『ブロークン・アロー』1996)、6月号のサマンサ・マシス(同)、8月号のヴァネッサ・ウィリアムス(『イレイザー』1996)…。そして、2度も表紙を飾ったふたりが印象深い。
まずは、アリシア・シルヴァーストーンだ。16歳のときにロックバンド、エアロスミスのミュージックビデオ「Cryin’」に登場し、ティーンアイドルとしての地位を確立。その後もエアロスミスのMVに出演を続け、その1本「Crazy」ではヴォーカル、スティーヴン・タイラーの実娘で、のちに『アルマゲドン』(1997)などで大ブレイクするリヴ・タイラーと共演している。
女優としては『ダリアン』(1993)を経て、学園コメディ『クルーレス』(1995)でブレイク。カリフォルニア育ちの健康的な美貌に恵まれた彼女に、「ロードショー」編集部はかなり早い時期から目をつけていた。ゆうばり国際映画祭で来日すれば北海道まで取材に飛び、しっかり信用を得る。以後、来日のたびに特別に撮影時間を確保、「ロードショー」表紙の写真は、すべて撮り下ろしだという。
だが、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)のバットガール役をピークに、キャリアは下降してしまう(この駄作は、主演のジョージ・クルーニーや悪役のアーノルド・シュワルツェネッガーなどすべての出演者にとって汚点となっている)。
シルヴァーストーンは、『クルーレス』で獲得した名声を生かして自身の製作会社を立ちあげるなど、出演作を自ら開発していた。それでも、次のヒットを生み出すことができなかったのはなぜか? 単純に選択眼がなかったのか? 当時ハリウッドに蔓延していたエイジズムの犠牲? ただし、もうひとりに比べれば、今でもTVシリーズなどで女優として活動を続けているから、シルヴァーストーンはまだいいほうだ。
消えてしまったもうひとりのスターとは、ブラッド・レンフロだ。ジョン・グリシャム原作の法廷サスペンス『依頼人』(1994)で、物語の鍵となる目撃者の少年役に大抜擢。11歳でのデビューである。ちなみに、このときのキャスティング・ディレクターは、『ターミネーター2』(1991)でエドワード・ファーロングを発掘した伝説の目利きである。