処方箋不要となることへの期待と懸念点

――薬局で処方箋なしに簡単に手に入るようになっても、そのような問診や説明がしっかりと行われるのでしょうか?

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OTC医薬品(処方箋なしで買える薬)の分類(北村氏提供)

「近い将来、緊急避妊薬が日本でOTC化(※薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せんなしに購入できるようになること)された場合、『要指導医薬品』に分類され、購入の際に薬剤師からの使用方法などの指導が義務付けられると思います。しかし、現在の制度上、3年経てば『要指導医薬品』から外れてしまい、指導なしで購入できることになってしまいかねません。

また、現在病院で行っている問診やその後のカウンセリングが薬局でできるか疑問です。例えば、レジ前で『この後、月経が来て妊娠が否定されるまでの間、セックスをする予定はあるか』をお客さまに聞くことは現実的ではありませんよね」

――やはり病院で直接診てもらわなければ、個々に応じた対応は難しいのでしょうか。

「現在、オンライン診療でも処方してもらうことができます。オンライン診療で緊急避妊薬が必要と判断した場合、女性の自宅に薬を送る方法以外に、最寄りの薬局に処方箋を送り、そこで薬を処方してもらうというルートがあります。

厚労省が指定したセミナーを受講したことで、緊急避妊薬のオンライン処方に対応できることになった薬剤師は全国で1万名以上おり、以前よりも緊急避妊薬へのアクセスがしやすくなっていますね」

――オンライン診療であれば、近くに病院がない人や学生も医師の指導を受けつつ緊急避妊薬を安全に服用できますね。

「そうですね。しかしリアルに対面して問診することで『なぜ目の前の女性が緊急避妊薬を必要としているか』という背景が見えることも多々あり、根本的な解決につなげることもできます。

そのほか、緊急避妊薬の服用後に、低用量ピルの定期的な服用を推奨することもできますが、オンライン診療ではそこまでの指導がなかなか難しいという課題があります」