「JAや、コメを抱えている業者は、えらい赤字になっちゃうぞという思いはあるでしょう」
取材に応じてくれたのは、1992年に東京都練馬区関町にスーパーアキダイを創業、現在は都内に9店舗を構えるまでに育てた秋葉弘道社長(56)だ。
秋葉社長は東日本大震災に伴う出荷の遅れや東北産の野菜の供給量の減少で価格が高騰していた際に多くの取材を受けたことでも知られ、その確かな見識から以降はメディアでの露出が引きも切らない名物経営者だ。
まず、異常高騰していたコメの価格は下がったのだろうか。
「これまで備蓄米を放出した農水省も、そのほとんどを入札したJAも、コメの価格を下げたくなかったんでしょう。だから相場に関係しない学校給食や飲食店などに備蓄米を流して市場価格(の下落)をある程度抑えてきたんですね。そこに小泉さんが(随意契約で)一石を投じたから『値下がりするんじゃん』となった。
テレビであれだけ古古米の報道をされると消費者は『コメの価格はここが頭打ちで今後は下がるんじゃない?』って思いになるわけです。相場に関しても、小泉さんが『店頭価格を下げる』と言ってやり始めてからコメのスポット価格は下がっているんですよ。
JAも含めてコメを抱えている業者は今持っているおコメを多少出しておかないとえらい赤字になっちゃうぞという思いはあるでしょうね」
そもそも異常高値の原因だった入荷状況の改善はみられ、米価も今後は落ち着いていくのか。
「新たに備蓄米が放出されてからスーパーなどの店頭に2024年度産のおコメが山積みにされ始めたという声があるようですが、今店頭に並んでいるのはほとんどが5月に仕入れたコメでしょうから在庫を持っていたJAやコメの業者が慌てて吐き出したというわけではないと思います。
JAやコメの業者なども例年、新米が市場に出るまでは昨年度産のコメがなくならないように調整しながら出していくのですが、今回備蓄米の放出によって市場におコメ自体が増えたので、今後その分の流通量が増えるというのはあると思いますよ。以前は100ほしいと言っても70しか出せないという状況でしたが、ここ最近は100ほしいと言えば100用意してもらえるという状況にはなっています。
今年で言うと、6月よりも7月はおコメの価格は上がり、8月には2024年度産のおコメは市場からなくなるだろうという見立てが業界にはありました。今現在の状況は、仕入れした価格があるわけですから2024年度産のコメの価格は落ちていませんが、今月の見積りから少し落ちる可能性があるのではないかと見ています。
なので、7月ごろから店頭に並ぶコメは5キロで200円~300円は安くなるのではないかと予想しています。極端に落ちるということはないと思いますよ」