海外の反省を生かし、課題をクリアすることが
OTC化への第一歩

――海外の事例や反省、現状の課題を踏まえて、緊急避妊薬のOTC化について、先生はどのような展開が望ましいと考えますか。

「私は緊急避妊薬のOTC化に賛成ではありますが、導入されるにはここまで話したような課題が同時にクリアされる必要があると思っています。

10年以上前にパリとロンドンへ視察に行った際、両方の地で緊急避妊薬のOTC化がどのように進められているかを知るために、緊急避妊薬の購入を試みたことがありました。

パリでは問題なく購入できましたが、ロンドンでは私が医師であり、視察目的であることを説明したのですが、男性は女性に対して緊急避妊薬の服用を強要する可能性があるという理由から売ってもらえませんでした。

この経験が、私の現在の診療姿勢の基礎となっています。

将来、日本の薬局でも緊急避妊薬を販売できるようになったとしても、プライバシーや薬を欲する背景などを踏まえた、個々に応じた対応が望まれますね」

緊急避妊薬を必要としている女性がより簡単に入手できる環境が必要な一方で、全ての女性の健康や尊厳が守られる社会でなければならない。現在進行形で緊急避妊薬のOTC化が議論されているが、性教育の充実を含め、それに対応した社会づくりが求められている。

参考資料
緊急避妊薬の使用-米国(一般社団法人日本家族計画協会)
https://www.jfpa.or.jp/kazokutokenko/topics/rensai4/001467.html