ハリウッド映画のヒロインとは違う、大人のヒロイン

フランスの国宝的な俳優であるカトリーヌ・ドヌーヴは、映画に一生を捧げていると言ってもいいくらい、ほぼ毎日カメラの前に立っているんじゃないかしら。それくらい、驚くほどの本数の映画に出演しているし、太い幹のようなキャリアを築いているわね。
フランス語圏の女優さんなので、仕事でお会いしたことはありませんが、主演映画はもちろんたくさん見ています。どの作品でも、あの綺麗なブロンドヘアが際立っていました。

彼女の出演作で特に印象に残っているのは『昼顔』(1967)。貞淑な妻と娼婦という、ふたつの顔を演じわけていますが、とにかくストーリーが衝撃的でした。一筋縄ではいかない裏の顔がある多面的な女性を、あの美貌で演じきる。それだけでドラマになっていました。
こういうヒロインが登場するのが “大人の”フランス映画。一元的に割り切れるハリウッド映画のヒロインとは一味も二味も違います。そういう作品を次々に世に贈ってくれていた、かつてのフランス映画が懐かしい!