深く、苦しく、でも楽しい
女優という〝沼〟
――15歳のときにスカウトされたけれど、そのときは断って普通の高校生活を送り、地元で就職もされたそうですね。
鳥取の高校生には、芸能界は怖くて…。でも、ずっと心のどこかに残っていて、22歳のとき、スカウトしていただいた事務所の社長さんにお電話したんです。「私にしかできないことがあるのなら、挑戦してみたいです」って。
――女優というお仕事に憧れて?
いえ、事務所に所属して、演技のワークショップに参加するようになってからです。「お芝居って、なんておもしろいんだろう!」と、一気に沼にはまりました(笑)。デビューして、さまざまな役柄を演じさせていただくたびに沼は深くなって、でも深いからこそ、産みの苦しみも深くなっていきます。
――経験を重ねて、気を配ることが増えてきた。
そうですね。20代のころは、とにかく目の前にある役を精一杯やろう、と必死でした。今もその気持ちは変わらないんですが、自分だけじゃなくて作品全体のことも考えられるようになってきたんですね。だから苦しいし、楽しい。もう底なし沼です(笑)。
――ターニングポイントになった作品はありますか?
やはりデビュー作の『仮面ライダー電王』でしょうか。私は佐藤健さんが演じた主人公の姉役だったので、今でもSNSなどでは「お姉ちゃん」と呼んでくださるかたがいらっしゃるんです。でも最近は「美保子さん」が増えてきて、『やんごとなき一族』も間違いなくターニングポイントになりましたね。
――これからは「密さん」という呼びかけが増えてくるかも。
そうなってくれたら嬉しいですね。