「本田さんがおらんとツライ」
しかし今回は、NHKで話題になった本田が、日本テレビにも登場。局ごとの囲い込みというより、ワールドカップ全体を盛り上げる「共通コンテンツ」として、本田解説が機能していたように見えた。
日本テレビは事前番組などでも、本田の言葉をかなりクローズアップしていた。これには一部で、バラエティー的に見えすぎるという反応もあった。たしかに、番組側が「さあ、本田さん、面白いことを言ってください」という空気を作りすぎると、見ている側が冷めてしまうところもある。
とはいえ、ライト層に「本田の解説が面白い」と伝えたという意味では、日本テレビの作り方も決して悪くなかったはずだ。
そしてスウェーデン戦。NHK総合で放送されたこの試合は、平均世帯視聴率35.0%を記録した。ここでも本田解説は相変わらず話題となり、SNS上でも多くの反応を集めた。
こうして本田解説は回を重ねるごとに存在感を増し、解説者の存在が視聴動機の一部になるにまで至った。
その構図がもっともはっきり表れたのが、ブラジル戦だった。
地上波ではフジテレビが中継したが、本田圭佑はNHK BSで解説を務めた。さらにDAZNでの配信もあった。視聴者は、同じ日本対ブラジル戦を「どこで見るか」だけでなく、「誰の声で見るか」で選ぶことになった。
そうした視聴環境の変化も、15.9%という数字の背景にあったのかもしれない。実際、SNS上では「フジで見始めたけど、本田さん解説を求めてBSにやってきた」「後半フジからNHK BSに変えたけど、やっぱ本田の解説の方が面白い」「本田さんがおらんとツライので後半戦はフジからNHK BSに移動」といった声が相次いだ。
もちろん、フジテレビの中継が悪かったという話ではない。小野伸二の丁寧な解説を評価する声もあり、好意的に受け止める声もあった。深夜2時の試合で15.9%を取ったこと自体も、冷静に考えれば上出来だ。
それでも、試合中に多くの視聴者が「本田は何を言っているのか」を気にしていたのは事実だった。
さらに興味深かったのは、本田の解説が単に“面白い”だけではなく、視聴者の緊張をほぐす役割も果たしていたことだ。



















