ブラジル戦がワースト視聴率に

ワールドカップ日本代表戦としては、異例の数字だった。

フジテレビ系で放送された決勝トーナメント1回戦・日本対ブラジル戦の平均世帯視聴率は15.9%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区・以下同)。月曜深夜、午前2時キックオフの試合としては驚異的な数字だ。個人全体視聴占拠率も49.5%。その時間にテレビを見ていた人の約半数が、日本代表戦を見ていたことになる。

だが一方で、この数字はW杯日本代表戦としてはワーストとも報じられた。

なぜ、ここまで数字が落ちたのか。

最大の理由は時間帯だろう。平日深夜2時の試合をリアルタイムで見るのは簡単ではない。さらに今回は、地上波のフジテレビだけでなく、NHK BS、DAZNでも中継・配信されていた。視聴者が分散したと考えるのが自然だ。

そして、その分散の中でひときわ存在感を放っていたものがある。元日本代表・本田圭佑の解説だ。

前回大会に引き続き、今大会でも日本代表戦における本田の存在感は異常ともいえるほど絶大だった。初戦のオランダ戦は、NHK総合で放送され、平均世帯視聴率27.1%を記録。早朝5時からの放送にもかかわらず高い数字を残したが、SNS上でとりわけ大きな話題になったのは、本田の言葉だった。

白熱のオランダ戦(画像/日本雑誌協会)
白熱のオランダ戦(画像/日本雑誌協会)
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サッカー選手らしい冷静な分析だけでなく、思ったことをそのまま関西弁で口にするような率直な言葉。視聴者の感情に近いリアクション。それがNHKという真面目な場所で流れるから、余計に面白かった。

前回大会では、ネット中継の中で本田の自由な解説を楽しんでいた視聴者も多かった。だが今回は、NHKのワールドカップ中継という“ちゃんとした場所”で、本田が自由に語っている。その意外性が、視聴者の心にさらに強く刺さったのだろう。

続くチュニジア戦では、異例の出来事も起きた。中継したのは日本テレビ系。平均世帯視聴率は30.2%を記録したが、ここでも本田が解説者として登場した。

かつてサッカー中継には、局ごとの色があった。たとえばテレビ朝日なら松木安太郎の熱い解説など、「この局ならこの人」という名物解説が存在していた。基本的には、放送局ごとに実況・解説陣がおり、それぞれの中継として勝負していた。