その夜、何があったのか
翌朝、三国町と新保村を繫ぐ新保橋で凄惨な現場が発見される。
全長500メートルにもなる木造橋のちょうど中央のあたりはおびただしい血液で雪が真っ赤に染まっていた。
さらにその脇にある橋の欄干が斧で叩き落としたがごとく、バッサリとなくなっている。
最初にその現場を目撃した新保村の大工は、すぐに「ここで誰かが殺された」と直感したという。
事件の第一報を受けた所轄の三国警察が遺体なき殺人事件として捜査を開始した。
警察はこの新保橋にて誰かが殺害され、その遺体は下を流れる九頭龍川に投げ込まれたものと考えた。やがて、加賀家の裏手に流れる竹田川に小舟がとまっており、その船縁に血液が付着していることが明らかになった。
そして、村吉の妻ツオの遺体が竹田川の下流の川底で発見されると、小舟で殺されたのはツオということがわかった。
おそらく、「舟で対岸の新保村へと渡す」とでも説明され、小舟に乗ったところを殺害され、川に投げ捨てられたのだろう。
翌14日。三国警察が警察部保安課、福井警察署の応援を得て九頭龍川一帯を捜索すると、九頭龍川の河口付近で1体の遺体を発見するに至る。
それは、加賀村吉の母キクであること、そしてそこから加賀家の者のほとんどが昨夜に“青ゲットの男”に連れ出されていたこと、そして誰も帰っていないことが発覚した。
これは殺人事件と判断して良さそうだ――。
こうなると、最初に連れ出されたという村吉も生きてはいまい――だが、川をさらえど海を探せど、村吉の遺体は発見できなかった。












