「金太郎、変わらず。」(集英社文庫・コミック版7巻収録)
金太郎が丸くなった…?
『サラリーマン金太郎』第67話は、2年半の地獄の海外赴任から帰ってきた金太郎が、息子の運動会で“成長”を見せる話だ。
竜太の運動会に参加した金太郎は、竜太のために朝から3時間もかけて弁当を作った。お重に詰めた豪華な弁当に竜太も大喜び。相変わらずのいいパパぶりである。
だが、さっそく不穏な空気が漂う。運動会に現れたのは、この地域を昔から金と権力で取り仕切っている金崎一族。パチンコ屋をはじめ、不動産からスーパーまで手広くやっているらしく、園の運動会にも社員や取り巻きを大勢連れてきて、やりたい放題だ。
しかも、その孫もまたひどい。玉入れ競争では周りの子を押しのけて自分ばかりが目立とうとする。父兄が子どもをカゴに乗せて走る“カゴかき競争”でも、金崎一族は周りの家族にわざとぶつかってくる。
だが金太郎はまったく怒らない。この様子を見た金太郎の上司・水木は、過酷な海外赴任を経て、金太郎が成長して丸くなったのかと思う。
そして最後の親子選抜リレー。竜太が金崎一族の孫に体当たりされ、転んでしまう。それでも金太郎は、笑顔で竜太を起こすだけだ。
やはり金太郎は丸くなったのだ。さみしいが、こうして人は成長していくのだ……と思ったのもつかの間、金太郎は竜太からバトンを受け取ると、リレーの勢いそのままに、ゴールテープを切りながら金崎一族の待機スペースめがけてスライディングアタック。
どさくさに紛れて、しっかり蹴りや肘打ちまで食らわせる。そして、抗議してくる金崎一族に対して、「滑ったんだよ。なんか文句あんのか、こらあ……」とにらみつける。
アフリカで2年半、命がけの仕事をして帰ってきても、やはり金太郎は金太郎だった。変わるべきところは変わっても、変わらなくていいところまで失ってはいなかったのである。























