一番得をして、ほくそ笑んでいるのは習近平

例えば中東情勢ですが、なぜ日本はイランとの交渉の表舞台に立とうとしないのでしょうか。かつては三井物産などが巨大なプラントを建設するなど、日本とイランには伝統的に良好な関係がありました。サウジアラビアを含め、中東との独自のネットワークを再構築することは、エネルギー安保の観点からも急務です。

さらに注視すべきは中国です。アメリカが中東などでの紛争に足を取られている現状で、一番得をして、ほくそ笑んでいるのは習近平国家主席です。

もし今後、アメリカがイランを牽制するために中国に頼み事をするような事態になれば、習近平は「中東の件で一肌脱ぐ代わりに、台湾有事の際にはアメリカは手出しをしないでくれ」という強烈なディールを持ちかける可能性があります。

中国の習近平国家主席
中国の習近平国家主席

帝国と帝国は、自国の国益のためなら平気で裏で手を握ります。その時、日本が中国との独自のパイプを持っていなければ、最大の国難である台湾有事において完全に蚊帳の外に置かれてしまいます。

とりわけ問題なのはこども家庭庁「子育て支援金」

内政に目を戻せば、こうしたバラマキ的な政策の結果、財政は厳しい状況です。一部の政治家は「食料品の消費税を2年間限定で下げる」などと無責任なことを言いますが、現実味がありません。ガソリン税の減税(トリガー条項の凍結解除など)にしても同じです。

もしこれを実行すれば、月に数千億円、灯油や軽油・重油なども含めれば年間で7兆円から8兆円もの莫大な財源が吹き飛びます。長期金利が上昇の兆しを見せている中で、これ以上赤字国債を垂れ流す余裕など日本にはありません。

「補正予算を組まない」という方向性自体は正しいですが(小泉内閣も組んでいませんでした)、それならば「では財源をどうするのか」という厳しい議論から逃げてはなりません。

とりわけ問題なのは、こども家庭庁が推進している「子育て支援金」の制度です。これは政策として筋が悪すぎます。

最大の過ちは、「子育て支援」と「少子化対策」を完全に混同していることです。すでに産まれている子どもを育てる家庭を金銭的にサポートすること(子育て支援)と、これから子どもを産み育てる人を社会全体で増やすこと(少子化対策)は、根本的にアプローチが異なります。

経済学的な観点からも、社会保険料をかき集めて手当てを配ったからといって、出生率が上がるという明確な因果関係や数値的根拠はどこにも示されていません。