世界の潮流に完全に逆行する愚策

国全体として海外に支払う富が増えている以上、国民の生活水準が落ちるのは経済の摂理として当然の結果です。

ところが政府は、この「不都合な真実」を国民から隠そうと、生活水準を無理に維持するためのポピュリズム的な政策を乱発しています。その最たるものが「ガソリン補助金」です。

世界中がエネルギー危機に直面し、化石燃料への依存度を下げるための省エネ政策へと舵を切っている中で、日本政府だけが多額の税金を投入してガソリン価格を人為的に押し下げ、「皆さん、これまで通り安心してガソリンを使ってください」というメッセージを発している。これは世界の潮流に完全に逆行する愚策です。

竹中平蔵「みんなで我慢して省エネしよう」…石油備蓄放出&政府メッセージを批判「世界の潮流に逆行」価格高騰、ある程度受け入れを_2

石油備蓄の放出にしてもそうです。備蓄というのは、中東情勢の悪化などで物理的に原油が入ってこなくなった「有事」に備えるためのものであって、単に「ガソリン価格が高くなったから下げるために使う」というものではありません。政策の目的が完全にすり替わっています。

みんなで我慢して省エネをしよう

だからこそ、強いリーダーシップを持つ政府であれば、価格高騰はある程度受け入れざるを得ないと国民に率直に語るべきなのです。本当に生活に困窮している人にはピンポイントで現金を給付して助ける。

その上で、社会全体には「今は国難なのだから、みんなで我慢して省エネをしよう」と呼びかけるべきです。

例えば、車の利用を控えてカーシェアリングを推進する、高速道路の制限速度を下げて燃費を良くする。1970年代のオイルショックの時、日本は廊下の電気を消し、エレベーターを止めて階段をと使うという徹底した省エネ運動を行いました。

竹中平蔵「みんなで我慢して省エネしよう」…石油備蓄放出&政府メッセージを批判「世界の潮流に逆行」価格高騰、ある程度受け入れを_3

そうした「国民に痛みを伴う我慢をお願いする」ことこそが、真の政治の役割です。内閣支持率を気にして補助金をばらまくのは、政治家の怠慢でしかありません。

このエネルギー問題は、日本の外交姿勢とも密接に関わっています。私は現在の「対米一辺倒」とも見える外交姿勢には強い懸念を持っています。

現代は再び「帝国主義の時代」へと突入しています。日本がアメリカという巨大な帝国に逆らえないのは冷徹な現実ですが、「地球儀を俯瞰する外交」とは、ただアメリカの顔色をうかがうことではありません。

アメリカを主軸としつつも、ASEANやヨーロッパ、そして中東や中国といった他のプレーヤーとも独自の絆を深め、したたかに立ち回ることです。