増える「家族葬」「直葬」「ゼロ葬」

近年、「家族葬」と呼ばれる、近親者のみで行う小規模な葬儀が増えている。僧侶であり、ジャーナリストでもある鵜飼秀徳氏によれば、こうした形式はかつて「密葬」と呼ばれ、世間に死の事実を知られたくない場合に行われる「タブーな葬式」とされていたが、今では東京都心部では家族葬が主流となっているという。

1990年代以降、葬儀の参列者数は減少傾向にあり、公正取引委員会が2005年に全国の葬儀業者を対象に行った調査では、5年前と比べて「参列者が減少した」と答えた業者は67.8%にのぼり、2016年にはその割合が86.8%にまで増加している。

家族葬のイメージ
家族葬のイメージ

葬儀の場所も変化してきている。日本消費者協会の全国調査によれば、過去3年以内に葬儀を行った人のうち、自宅で葬儀を行った人は1985年には58.1%と過半数を占めていたが、1991年には52.8%、1999年には38.9%、2007年には12.7%と減少を続け、2014年にはわずか6.3%にまで落ち込んでいる。一方で、葬儀会館を利用した人は81.8%に達している。

また、通夜や告別式などを行わず、火葬のみを行う「直葬」や「火葬式」と呼ばれる新しい形式も増えてきている。さらに、火葬後に遺骨を引き取らず、すべて置いて帰り、火葬場で処分してもらう「ゼロ葬」と呼ばれる形式も話題となった。

このような葬儀の変容の背景には、核家族化や単身世帯の増加、死亡年齢の高齢化、親族や地域とのつながりの希薄化、未婚化・非婚化といった現代の社会環境があると考えられる。こうした現状において、私が日頃接している大学生の中には、葬儀に一度も参列したことがないという学生も少なくない。