5年越しのプロポーズ
先に挙げた福積さんの「note」には、「死ぬまでにやりたいことリスト」というものが綴られている。その中で、筆頭に掲げたのが、妻へのプロポーズだ。福積さんは照れくさそうに明かす。
「きちんとした言葉も送らずに始まった結婚生活で、流れ結婚みたいな感じだったので、妻から“プロポーズを受けてない”と言われた時に“あちゃー”って感じでしたね(笑)」
そうして、2025年11月25日、抗がん剤による副作用と闘いながらも、二人は広島の街を見晴るかすグランドプリンスホテル22階のレストランへ向かった。当時の心境を改めて聞くと――。
「もちろん『愛しています』という想いを伝えたんですけども、それよりも『絶対に一緒に生きていくよ』って伝えたかった。『絶対にがんに勝つし、死なないからね』って伝えたかったんですね」
プロポーズの言葉の中に、「今後、一生守るよ」という言葉を盛り込んでよいのか。厳しい生存率を突きつけられた自分が口にしてもよいのか。その逡巡する気持ちの中で彼が送った5年越しのプロポーズは何よりも真心からのものであったに違いない。
そんな福積さんから妻へ送るもう一つのサプライズ。インタビュー取材後に彼が妻へ綴ったことを記す。
《真奈美さん! 僕は今まで何度も、あなたの明るい笑顔に助けられてきました! 助けられてばっかりです。そして今回もまた、助けてもらってます。
がんの怖さはあなたの笑顔で乗り越えられましたよ! 最後は、「がん、倒したぞ!」って最高の笑顔を、僕から送るからね! それまでもう少し待っててね。
いつもありがとう。愛してます!》
今日も、明日も、1歩ずつ。福積さんの「奇跡」への歩みは、家族と共に続いていく――。
取材・文/加賀直樹













