周りから心配されたくない

IT関連の仕事をしている福積さんは、北海道から沖縄まで、出張で駆け回る日々を過ごしていた。ところが、2025年6月のある日、出張先の北海道で、食欲のなさに気づく。

7月、8月、9月とそんな日々は続いた。そして9月末には、倦怠感や、睡眠障害も加わった。ある日、激しい腰痛で倒れ、病院へ。消化器科で「尿管結石の疑いあり」と言われた福積さんは、病院でCT検査を受けることに。そのCT画像を見ながら医師は静かにこう伝える。

「膵臓に腫瘍があります。良性か悪性か、現状では分かりません。ただ、診察内容を考えると…。福積さん、家族はいらっしゃいますか?」

続けてより大きな病院へ行くことを打診され「家族全員で行ってください。紹介状を書いておきます」と言われた。その時の心境は半分夢の中にいるようなそんな意識だったと明かした。

血液検査の結果、悪性腫瘍でほぼ間違いなかった。「膵臓がん」ステージ4である可能性が非常に高い。そんな説明を、福積さんは妻、息子と3人で聞いた。

旅先での家族写真、愛犬のハナビも一緒に(写真/本人提供)
旅先での家族写真、愛犬のハナビも一緒に(写真/本人提供)
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膵臓は、長さ約15~20センチ、幅約3~5センチ、厚さ約2~3センチの細長い臓器。みぞおちの裏側に位置する。182センチある彼にとって、「ちっちゃい、ましてや、もともと自分の身体の一部であるものに殺されるのも、どうよ!」と笑い飛ばした。

「そもそも僕はポジティブで、明るい。がんになって、周りから心配されたくない。暗いところを見せたくないんです。『今まで通りだよ!』って、元気な姿を見せたい。それが、周りにとっても、自分にとってもプラスになるって思うんです。自分、身長、メッチャでかいんで(笑)」

そんな福積さんを慕って、大学の軽音楽部の仲間や、職場の同僚ら、いろいろな仲間が駆けつけたり、応援メッセージを送ったりしている。

「『福積くん、大好きだから、絶対元気になって帰って来いよ』って言われて、すごく嬉しいです」