サッカー界、スポーツ文化にとって大きな痛手

報道や分析では、アジア予選の結果を踏まえ、イラクやUAEが候補として取り沙汰されているが、現時点でFIFAが正式に代替国を決めた事実はない。さらに、もしグループリーグ途中まで問題がもつれ込めば、当該チームの試合結果を無効とする規定もあり、競技面の混乱は一段と大きくなる。

それでも、最大の損失は制度論や枠の再配分だけではない。ワールドカップは本来、政治的対立や国際的緊張を超えて、各国の代表が同じルールの下で競い合う「平和の祭典」であるはずだ。その舞台から、予選を突破した国が安全保障や外交情勢を理由に姿を消すとなれば、それは当該国だけでなく大会全体にとって大きな痛手になる。

シーシャ(写真/PhotoAC)
シーシャ(写真/PhotoAC)
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代替出場国が決まり大会が開催されたとしても、不完全な形であり開催期間中のテロや暴動などの不安がつきまとう。世界最高峰の大会に求められるのは、華やかな演出だけではなく、参加国が安心して戦える国際舞台だ。

今年開催されたミラノ・コルティナ冬季五輪ではロシアが国としての参加が認められなかった。それに続き、同年に開催されるW杯でのイラン不参加報道は、不安定な現在の世界情勢を象徴している。

W杯という舞台だけでなく、国際的な平和と友情の象徴としての役割を担うはずのスポーツ文化が被る損失は大きい。

取材・文/集英社オンライン編集部