石油もガスも輸入依存の日本は苦境に

もしペルシャ湾が「西側にとっての高リスク空間」となり、中国向けだけが実質的な生命線として機能するなら、それはエネルギー版の東西冷戦の始まりだ。

エネルギーが市場ではなく陣営ベースで流れる世界になれば、価格は上がるだけでなく安定も失われる。そこで窮地に立たされるのが、「米国の同盟国でありながら最大の貿易相手は中国」という日本である。

日本は真っ先に直撃を受ける。石油もガスも輸入依存、しかも原油はドル建てだ。原油高と同時に為替が動けば、日本は価格と通貨の両方で殴られる。

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多くの日本人はいまだに「有事の円買い」という言葉をどこかで信じている。しかしこれはもはや完全に死語だ。有事になっても円は買われない。むしろ真っ先に売られる通貨になっている。

理由は単純で、日本は有事になるほど外貨が必要な国だからだ。原油、LNG、食料。危機が来るほど輸入額が膨らみ、貿易赤字が拡大する。市場はその構造を正確に理解している。

結果として起きるのは、原油高→貿易赤字拡大→円安→輸入物価上昇→生活コスト直撃という逃げ場のない悪循環だ。

年間では家計負担は7〜10万円単位で増える

具体的に言えば、原油120ドル、為替170円になればガソリンは補助金なしで220〜230円水準に達する。補助金を維持しても190円台後半が常態化する。

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電気代は標準家庭で月3,000〜5,000円、ガス代も2,000〜4,000円上昇する。年間では家計負担は7〜10万円単位で増える。これは節約でどうにかなる水準ではない。

さらに厄介なのは、日本がすでにドル建ての請求書を大量に抱えているという事実だ。約80兆円規模の対米投資、そして膨大な防衛装備品購入。その多くがドル建て契約である。

為替が150円から170円になれば、それだけで円ベース負担は1割以上膨らむ。何も増えていないのに10兆円単位の追加負担が発生する。これは同盟の問題ではない。通貨主権の問題だ。

ここで長年続いてきた「円安容認」の末路が露わになる。円安は確かに輸出企業や株式投資層には歓迎されてきた。「円安ホクホク」という言葉が象徴的だ。

しかし我々は円で生活している。給料も年金も円、家賃も光熱費も円だ。円の価値が下がるということは生活の土台が削られるということに他ならない。

最も冷静に見ているのは富裕層だ。彼らは声高に文句を言わない。代わりに行動する。