保育園は大きく定員割れを起こしているが、待機児童は全国最多

今回の議会では同時に「市役所新庁舎整備の財源確保への決意を示す」として市長や三役らの月給を5%カットする条例案も提出されている。しかし、「市長は給与をまず上げ、その中から月給だけ一部カットするためトータルで年間の受取額は増える」(中川市議)仕組みだ。結局、人件費負担を軽減する必要はない中で幼稚園教諭の賃金カットを行なう背景には何があるのか。

大津市では待機児童数が昨年4月時点で132人と2年連続で全国最多となった。市は「この状況を改善するため幼稚園・保育園間の人材交流を促進する」として新年度の新規採用から保育士と幼稚園教員を統合した「教育保育職」を設けた。そして現役の保育士と幼稚園教諭も4月から全員この新職種に移し、低い方の保育士の給与体系を適用するというのが条例案の内容だ。

中川市議(本人SNSより)
中川市議(本人SNSより)

ではなぜ大津市の待機児童数はこれほど多いのか。

「特に市北部が大阪、京都のベッドタウンとして宅地開発が進み人口が増えています。共働き世代が多いので0歳児から預けられる保育園の人気が高くなる傾向があります」

そう中川市議が解説する通り、大津市立の幼稚園の入園者は年々減り、昨年4月時点で全部で28ある幼稚園の定員が計3321人あるのに対し、在籍している園児は1518人だ。その充足率は45.7%にとどまる。

ところが人気が高い市立保育園も1460人の定員に対し園児は947人しかいない。充足率は65%で、中川市議は全国的にも異様に低いと指摘する。待機児童が多くいるのに保育園が大きく定員割れを起こしている原因は「保育士不足」だ。

「保育士には配置基準があり1人の保育士がみられる子どもは0歳児が3人、1-2歳児で5人(運営費加算適用時。通常は6人)、3歳児で15人と決まっています。小さな子どもを受け入れられるだけの保育士の数が足りないのです」(幼保支援課)

実は大津市は2020年までの越直美前市長時代に待機児童がゼロになったことがあり、近年の急増は佐藤市長の“失策”だと批判する声もSNSで出ている。だがことはそう単純ではない。

「待機児童が多いのは保育士の採用を極端に絞った越市政に原因があると僕は思ってます。保育園の『民営化』を打ち出した越市政は保育士を若干名しか募集しない年までありました。これで保育士が減って足りなくなり、0歳と1歳児を公立保育園が受け入れられないんです。

市立保育園で待遇を改善して配置していれば今の待機児童は全部吸収できたのに、民間保育園を呼んできて補助金で手当てした結果です。子どもは減っていくし、公立保育園の保育士を増やせばずっと雇わなければいけませんが、民間なら撤退してもらうだけ、と考えたのではないでしょうか」(中川市議)

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)