外務省の引き延ばし工作

昨年12月、外務省の元トップであり初代国家安全保障局長も務めた谷内正太郎氏らが、警察主導の流れに待ったをかける動きを見せた。谷内氏は日経新聞のインタビューで、新組織について「屋上屋にならないか、国民に丁寧に説明すべきだ」と疑問を呈し、既存の組織との「すみ分けが不透明だ」と批判した。

さらに、「有識者の懇談会を設けて半年から1年かけてじっくり検討すべきだ」と主張し、新組織を作るのではなく、既存の会議(合同情報会議)を改組する「合同情報委員会」の設置を提案した。

警察主導の流れに待ったをかける動きを見せた外務省だったが…
警察主導の流れに待ったをかける動きを見せた外務省だったが…

一見もっともらしく聞こえるが、これは要するに「時間をかけて議論しよう(その間に警察主導案を潰そう)」という引き延ばし工作であり、自分たちの権限を守るための苦肉の策に過ぎなかった。

対して、警察側の動きは冷静かつ計算高いものであった。その象徴とも言えるのが、警察庁が長く独占していた「内閣危機管理監」のポストに、初めて防衛省出身者が就任した人事である。

強大な権限を手にするために、あえて既存のポストを手放す

「一見すると警察側の敗北に見えるますが、実態は逆です。警察庁内では『国家情報局長という最大のポストを獲得できるのであれば、危機管理監のポストは譲っても構わない』との判断が働いていたのです」(内閣府関係者)

つまり、より強大な権限を手にするために、あえて既存のポストを手放すという、極めてしたたかな戦略が展開されていたのである。

そして、1月10日に明らかになった新しい組織の設計図によれば、国家情報局のトップである「局長」は、役人の中で一番偉い「事務次官」よりも、さらに上の「政務官級」というランクに置かれることになった。そして、そこには警察出身の強い力を持つ人物が就くことが有力視されている。

さらに、新しい法律では、各役所に対して「情報を出さなければならない」という「義務」が課されることになった。「出したくない」とは言わせない仕組みだ。これにより、各省庁間の綱引きや縄張り争いに、ようやく終止符が打たれることになる。