「組織として必死でやった。数字にもそれは表れている」

「状況は複雑だ」という言葉が、多くの人の口から漏れた。確かに、公明系の候補者が比例で当選したことは喜ばしい。しかし、共に戦ったはずの立憲民主党出身の議員たちが小選挙区で次々と落選していく様を見て、手放しで喜べるはずがない。

「組織として必死でやった。数字にもそれは表れている」

そう語る表情に、裏切りや策謀の色は見えない。あったのは、やるべきことをやったという自負と、それでも届かなかった現実への徒労感だけだ。

友人の経営者(非創価学会員)が語ってくれたエピソードも、現場の熱量を裏付けている。

選挙が始まったばかりの頃、友人は笑っていた。

「うちのオフィスの大家さんは創価学会の人で、いつもなら選挙のたびにお願いに来るのに、今回はまだ来ない。あんまりやる気がないんじゃないか」

しかし、選挙戦も中盤に差し掛かった頃、大家さんはやってきた。そして、これまで以上に熱心に、中道候補への支援を訴えて帰っていったという。友人は「むしろいつも以上に必死だった」と振り返る。

出足が遅れたのは、やる気がなかったからではないだろう。かつて敵対していた勢力と手を組むという「中道」の枠組みを、自分の中でどう消化し、どう他者に説明すればよいのか、言葉を探していた時間が長かったのではないか。

悩みながら、それでも組織の決定に従い、汗をかいて歩き回った。そんな実直な支援者たちの姿が、この記事には欠落しているように感じられる。

組織票は逃げていない。しっかりと固められていたのだ

公明党の支持母体である創価学会(写真/集英社オンライン)
公明党の支持母体である創価学会(写真/集英社オンライン)

数字を見ても、現場の努力は明らかだ。時事通信が配信した分析記事は、感情論ではなくデータで公明党の動きを証明している。

「前回衆院選では、選挙協力により公明の比例票に自民支持者の票が一定程度含まれていることを考慮すると、純粋な公明・学会票は、参院選の得票数が実態に近いと言える。

学会員の高齢化などにより、国政選挙での公明の集票力が減少傾向にあったことを踏まえれば、2.9ポイント減という数字からは、東京の創価学会が組織を挙げて、中道の比例票の掘り起こしに取り組んだことがうかがえる」(時事通信『創価学会は全力で戦った? 新党・中道、衆院選で大敗【解説委員室から】』2月10日配信)。

記事によれば、比例票の減少幅は想定の範囲内に留まっている。つまり、組織票は逃げていない。しっかりと固められていたのだ。

北海道や東京といった重点地区でも、学会員たちは中道票の確保に全力を挙げていたことが数字から読み取れる。