現代の若者たちが陥る「ドーパミン中毒」の危険性

ではアドレナリン中毒、ドーパミン中毒とは具体的に何なのか恩蔵氏に解説してもらった。

「アドレナリンというのは脳に強い覚醒効果をもたらす物質で、危険な状態、スリルのある状態に陥ったときに多く分泌され、心拍数や血圧が上がります。

アドレナリン中毒という言葉は実は専門用語としては使うことがないのですが、若い方の場合、興奮した状態にハマってしまうという意味でこの言葉をつかっているのではないでしょうか。

そしてドーパミンのほうは、学習機構のひとつで、なにか嬉しいことがあると、その嬉しいことが起こる前にしていた行動を強化する働きのある物質です。

例えば、数学の難しい問題に挑戦し、苦労した末に自力で答えを導き出せたら、もっと難しい問題に挑戦したくなる、といったようなことです」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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現代に生きる子どもたちは特にドーパミン中毒になりやすいと恩蔵氏は言う。

「SNSが普及してから、現代の子どもたちは自分と他者を比べる生活を自然と強いられています。どれだけ“いいね”がもらえたかを気にして、“いいね”がもらえただけでドーパミンが簡単に出てしまう。

そういった環境下では、例えば数学のように、難しい問題を解いた先にある達成感、つまりドーパミン体験よりも、素早く、また手軽にドーパミンを“摂取”できるSNSやゲームといったもののほうに惹かれてしまう子どもが多いのでしょう」

写真はイメージです(PhotoAC)
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そして、こうしたドーパミン中毒が続いてしまうことの危険性については、こう解説する。

「“自然の報酬”に見向きもしなくなってしまうということは深刻な問題です。日常にある小さなことで喜びを感じられなくなってしまうと、よりSNSやゲームといった過激で目まぐるしく変化するオンラインの世界に没頭するようになってしまいます。

人と比べてしまいがちになるSNSなどに没頭すると、摂食障害のリスクや、自己肯定感の低下などに影響します。

また最近では公園で遊ぶ子どもが減っているということもよく聞きますが、外遊びで身体を動かさず、オンライン上で友達と交流することをメインにしてしまうと、家に引きこもることで肥満体質になったり、夜遅くまでゲームをすることで日中の活動に支障が出たりします。

多くの情報を仕入れられるという点で、必ずしもSNSやインターネットが悪いわけではありませんが、実際に自分の身体を使って何かを感じたり、学んだりするという発達において必要なことが軽視されてしまうことは問題に感じます」