マルチメディア時代のインプットとは
「速聴」以外にも、「聞く」インプットをより効率的にする方法がもう一つあります。
それは、「見る」を加えること。単に「聞く」だけではなく、ビジュアルも加えること。マルチメディアで情報を吸収すると、理解度が格段に上がることがわかっています。
スマホでのインプットの最大の利点は、このマルチメディアを簡単に利用できることです。
例えば、YouTubeの動画は、「聞く」に加えて「見る」、さらに、「読む」機能もついている。話し手の表情や音声にプラスして、補足的な画像やコメントも表示されるので、どこが大事なポイントなのかも非常にわかりやすい。
そうしたマルチメディアの環境の中では、私たちの理解度が格段に違ってきます。
記憶力や理解力は、マルチメディアからポジティブな影響を受けることが実証されており、スマホはその最善のツールだと言えます。
マルチメディアによるインプットが効果的であることは、最近では脳科学的に裏付けがなされています。わかりやすく解説しましょう。
私たちの脳の主要機能としておなじみの、「ワーキングメモリー」。長期や短期の記憶を現在の意識にホールドして、整理したり、組み合わせたり、なんらかの「コマンド」を意識下で実行する脳の働きのことです。
頭の中で、「123+37」という計算をする時は、このワーキングメモリーがフル稼働しています。それぞれの数字を意識して、足し算を実行する。そうやって頭を使うことができるのは、すべてワーキングメモリーのおかげです。
そして、このワーキングメモリーは、どんな人でも容量がかなり小さい。3つから5つくらいのものを意識にホールドするのが限界であるとされています。
ですから、その小さな容量をうまく使いこなすことが、効果的なインプットのために求められてきます。
では、どうすれば効果的なのでしょうか?
それは、外から入ってくる情報を、「見る」「聞く」などの違う種類のインプットに分散させることです。
思い出してください。授業で先生の話を理解しようとしても複雑でお手上げだったのに、黒板に図にしてくれた途端、すぐに吞み込め理解できた。そんな体験を誰しもが持っているのではないでしょうか。
「聞く」だけではワーキングメモリーがパンクしてしまうものの、「見る」も併用してインプットの負荷を分散させる。そうすることで、ワーキングメモリーをより効率的に使うことができます。
だから、「『読む』『聞く』『見る』のどれが最も効果的か」という問いも大事ですが、「どうやってそれらを混ぜた形でインプットができるか」という視点を持つことが大切なのです。