ライブ収入の金字塔を打ち立てることができるか?

嵐のラストツアーの動員数は70万人規模とみられている。チケット代は1万2000円、申し込み手数料が900円。単純計算でチケット代の売上は90億円だ。嵐のファンクラブの会員数は300万人を超えており、チケットが売れ残ることはまず考えられない。

ここに生配信のチケット売上が上乗せされることになる。

嵐は2020年に無観客のライブ「アラフェス 2020 at 国立競技場」をオンライン配信した。嵐ファンクラブ会員の視聴料は4800円、一般視聴者は5800円だった。このオンライン配信の総視聴者数は1000万人を突破したと言われており、この数字が正しければ500億円台の収入があったことになる。

無観客ライブはコロナ禍の巣ごもり特需が発生しており、人々の余暇時間が急増していた。これが1000万人もの視聴者を惹きつけた背景になっていたのは間違いなさそうだ。しかし、今回のラストツアーは、嵐がこれを最後に活動を終了するというあまりにもプレミアムな付加価値がついている。

ラストツアー発表で各地で早くも期待の声が上がっている(写真提供/タワーレコード橿原店@TOWER_Kashihara)
ラストツアー発表で各地で早くも期待の声が上がっている(写真提供/タワーレコード橿原店@TOWER_Kashihara)
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おまけに今回の公演は、2025年6月2日以前にファンクラブに入会した会員にのみチケットを購入する権利がある。会場で顔認証も行なうという徹底的な転売対策を講じた。従って、ファンクラブ会員ではない一般人がライブを見に行くのはほぼ不可能なのだ。必然的に生配信の需要が膨らむ仕掛けを設けているのである。

生配信を「アラフェス 2020 at 国立競技場」と同じく5000円程度で販売し、1000万人の視聴者を惹きつけることができれば、600億円台の収入をもたらす超ド級のライブツアーになる可能性が高い。

往年の世界的ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズは2005年から2年にわたって開催したロック史に残る伝説的なワールドツアー「ア・ビガー・バン・ツアー」で、5.6億ドル(当時のレートでおよそ650億円)を稼ぎ出した。嵐のツアーはイベントの規模もマーケットも小さいにもかかわらず、それと肩を並べる潜在性を持っている。