2万円以下のホテルが5万円まで急騰

ライブ会場に訪れる人の宿泊や飲食、交通費による経済効果も大きい。

嵐は東日本大震災の復興支援を目的としたコンサート「ARASHI BLAST in Miyagi」を、2015年にひとめぼれスタジアム宮城(当時)で開催した。このとき、県は1公演当たり5万人、合計20万人の来場者を予想。チケット代や交通費、飲食費などの直接効果が約57億円生まれると試算した。

このときのチケット代は一般9000円だったため、20万人で18億円。つまり、40億円近くがチケット収入以外でもたらされる試算となる。これは全4公演で、1日あたり10億円もの経済効果が生じる。現在はホテル代や飲食費が高騰しているため、開催地にもたらす影響はもっと大きいはずだ。

2020年3月、渋谷駅に掲出された「三ツ矢サイダー」の街頭広告(写真/読者提供)
2020年3月、渋谷駅に掲出された「三ツ矢サイダー」の街頭広告(写真/読者提供)

すでにツアー日程中のホテル代は高騰している。例えば、北海道公演の最終日である3月15日の札幌にあるとあるホテルは、1泊どの部屋も5万円を超えている。翌週の日曜日であれば1万5000円ほどで宿泊可能だ。札幌は3月中ごろまでは観光業の閑散期にあたり、ホテル代は安くなりがちだが、ビッグイベントの開催で宿泊代が跳ね上がっている。

チケットの抽選結果の発表は来年1月だが、それでも札幌ではすでにスイートルームしか空いていないホテルもある。ファンの多くは申し込みと同時に部屋の予約を終えてしまうため、水面下で空き部屋の獲得競争は始まっている。

東京や名古屋、大阪など人口が多い都市から離れた札幌、福岡は費用と時間の負担が重いため、当選確率が上がるとも言われている。多くのファンは宿泊ありきで申し込みをするため、ホテル代が上がりやすい。

昨今、観光業界においては中国人旅行者の先細りが懸念されこともあり、関係者は嵐のラストツアーは大歓迎というわけだ。

さらに嵐ファンはマナーがいいこともポイントが高い。20万人を動員した「ARASHI BLAST in Miyagi」では、会場周辺にゴミが見当たらなかったことがSNSで話題になった。