脳の手術は成功したが後遺症が残り、仕事をクビに
働き始めて4か月が過ぎた連休明け。職場から「青木さんが出勤していない」という電話がかかってきた。家族が家の中を探したら、青木さんが1階のトイレで倒れていたそうだ。
「出勤準備してトイレに入ったことは覚えています。倒れてから何時間経ったのかわからないんだけど、救急搬送されて。脳に溜まった水が脳を3分の2ぐらいに潰しちゃってたそうです。ずっと、『どうして? どうして?』っていう思いがあったので、ああ、原因がやっぱりあったんだと……」
そこまで言うと、当時の辛さを思い出したのか、青木さんはこらえきれずに嗚咽をもらした。涙を流しながら話を続ける。
「体の中にシリコンのチューブを通して脳の水をお腹に流す手術をすると説明を受けて、『手術大歓迎!』みたいな感じでした。ああ、これで、元気になれるんだ。よかったと思ったんですけどね……」
手術から1カ月弱で職場に戻った。だが、脳が圧迫されダメージを受けた影響で、懸命に覚えたはずの利用者の顔と名前が思い出せない。介護の専門用語も出てこない。言葉に詰まる失語症の症状もあった。
「ちゃんと聞いてます?」
「何回言ったらわかるんですか!」
青木さんは同僚の言葉に傷つき、役に立たない自分を受け入れられなかったという。
専門の病院で調べるため休みが欲しいと職場で相談すると、「次の人を雇えないから辞めてくれ」と退職を迫られた。そして1カ月後にクビを切られてしまう――。
〈後編へつづく『高次脳機能障害の59歳男性、月1しか風呂に入れず家族から「臭い」と言われたひきこもり生活』〉
取材・文/萩原絹代

















