「総理にはなれないかもしれない女」

公明党の連立離脱により、先行きが見通せなくなっていた自民党。

高市氏も前述の講演で、「“総裁になったけれど、総理にはなれないかもしれない女”と言われている。かわいそうな高市早苗」と語り、悲壮感を漂わせていた。

その窮地を救うことになりそうなのが、維新である。高市氏は10月15日に日本維新の会の吉村洋文代表(50)と会談し、首相指名選挙での協力や、連立政権の樹立を目指した政策協議をスタートさせることで合意した。

高市新総裁(自民党広報「X」より)
高市新総裁(自民党広報「X」より)
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自民党との連立協議で合意すれば、維新は首班指名選挙で高市氏に投票する。その場合、高市総理誕生が事実上、確実視されると同時に、自民と維新による連立政権が発足する可能性が高い。

とはいえ、なぜこのタイミングで維新との連立協議が実現するに至ったのか。

維新は総裁選期間中から、小泉進次郎農相(44)の勝利を見越して、連立入りに向けて動いていた。

遠藤敬国対委員長(57)が、小泉氏の後見人・菅義偉元総理(76)と会談するなど、小泉氏陣営の議員らとやりとりを重ねた。複数の自民党関係者は「首班指名選挙での協力や、その後の連立協議が既定路線になっていた」とみている。

ところが、小泉氏ではなく、高市氏が新総裁となったことで、いったんは話が流れた。高市氏自身は、総裁就任後、真っ先に玉木雄一郎代表(56)と会談するなど、国民民主党との連携を目指した。

その潮目が変わったのが、公明党の連立離脱だ。想定されていた「自・公・国」の枠組みが崩れ、もはや自民と国民民主が組んでも、衆参で過半数を占められなくなった。玉木氏も「(国民との連立話は)あまり意味のない話になった」とトーンダウンした。

「党勢が低迷する維新と異なって、参院選で野党トップの比例票を取るなど、国民民主は勢いがあります。もともと玉木さんは、もう一度、衆院選を野党として戦い、さらに議席を増やした上でキャスティングボートを握りたいという戦略を持っていた」(国民民主党の中堅議員)