悪い例 ②知識不足を「モチベーションの問題」と誤解

私が観察した別のケースでは、部下Fさんが作成する提案書の詰めの甘さや雑さにリーダーが頭を抱えていた。リーダーは「なぜこんなにいい加減なんだ。やる気が感じられない」と考え、Fさんを厳しく叱責した。

しかし、よく話を聞いてみると、Fさんは「何をどう書けばいいかわからない」「過去の提案書の事例がなく、参考にできるものがない」という状態だった。つまり、知識不足が原因であり、モチベーションの問題ではなかったのである。

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知識を与えればモチベーションも上がる

Fさんに「これが過去の成功事例だよ」「このフォーマットを使えばいいよ」と、具体的な知識を提供したところ、「なるほど、こうやって書けばいいのか!」と感激し、丁寧な提案書を作成するようになった。

このように、「やる気がない」のではなく「やり方がわからないだけ」というケースは意外と多い。部下にやる気がないと感じたら、まず次のアプローチをとってみてほしい。

■「何がわからない?」と知識の問題として質問してみる

■過去の成功事例やテンプレートを共有する

■「こんなふうに考えればいいよ」と、思考プロセスを教える

「なるほど、これならやれそう」と思えないことには、やる気は上がらない。自発的に動く「やる気のある部下」を育成するためには、まず適切な知識を与えることが大前提だ。