連立パートナーの公明党とも国民民主は親和性を持っている
「いや、良かったね。素晴らしい」
高市氏が自民党総裁に選ばれた10月4日の夜、国民民主党の中堅議員は筆者の取材にそう喜びを語った。永田町では、これまで小泉進次郎農相(44)が総理になった場合、自民党が連立相手として選ぶのは日本維新の会だというのが“既定路線”になっていた。
「日本維新の会は、自民党の重鎮の中では、小泉氏の後見人である菅義偉元総理(76)との関係が深いとされてきた。実際、総裁選期間中の9月24日に、維新の遠藤敬国対委員長と国会図書館で会談をしていた。
維新の藤田文武代表(44)も『自民党と私個人は(基本政策の)全てにおいて近い』と前のめりの姿勢を示してきました」(自民党関係者)
仮に維新の連立が実現し、自民党が少数与党から脱却すれば、「年収の壁」の引き上げをはじめとする国民民主の要求を呑む必要はもはやなくなる。“小泉総理”が本命視される中、維新がリードする状況に、国民民主側は焦りを募らせていた。
しかし、まさかの“高市総理”誕生により、形勢は逆転した。自民党の重要閣僚経験者も「これで維新との連立はなくなっただろう」との見方を示す。
「総裁選で『責任ある積極財政』を掲げた高市氏は、『手取りを増やす』をモットーとする国民民主と政策的な考え方が近しい。総裁選期間中から、国民民主が訴える所得税の控除額引き上げや、ガソリン税減税の早期実現を訴えていた。連立パートナーの公明党とも、国民民主は親和性を持っている。
一方、高市氏は参政党とも考え方が近しいと指摘する向きがあるが、参政党は衆院で3議席、参院で15議席しかもっていない。連立を組んだとしても、自民党は少数与党から脱却できないので有力な選択肢にはならないでしょう。参政党の排外主義的な姿勢には、公明党の警戒感も根強い」(前出・自民党関係者)