NVIDIAの奇跡の技術が注ぎ込まれたニンテンドースイッチ2
任天堂は2025年度上期の純利益が前年同期間の1.8倍に増加し、2000億円近くに達した。通期の純利益を、期初に予想していた3000億円から3500億円に17%上方修正している。
今年6月に発売したニンテンドースイッチ2が予想を超える勢いで売れており、年間の販売台数計画を1500万台から1900万台に引き上げた。
業績好調の主要因は新機種のヒットがあるが、それは利益を度外視して手ごろな価格で販売しているからこそのものだ。
ニンテンドースイッチ2に使われている半導体チップは、アメリカの急成長企業でAI関連の半導体を開発・研究・販売するNVIDIA社製のプロセッサが搭載されており、同社のCEOであるジェンスン・ファン氏が「技術の奇跡だ」「これまでと全く違う、携帯機史上で最高水準のグラフィックである」と語ったほどの自信作だ。これは従来機種の10倍のグラフィック性能を持つと言われている。
ニンテンドースイッチ2の国内の希望小売価格は税込4万9980円だが、世界最高水準のテクノロジー技術が注ぎ込まれているにもかかわらず、手が届きやすい価格に設定している。
任天堂は新型機を発売する前の2024年度上期の営業利益率が23%、今期が13%である。本業で稼ぐ力を示す営業利益率は10ポイント低下した。しかし、純利益率は前期が21%で、今期は18%だ。3ポイントしか変わっていない。
ここが今期の決算の一番の見どころだ。
純利益を確保できているのは、営業外収益の影響が大きい。任天堂は今期913億円の営業外収益を計上しており、前期のおよそ1.9倍に跳ね上がっている。その大きな割合を占めるのが、「持分法による投資利益」の441億円だ。「持分法による投資利益」はグループ会社が上げた利益のうち、持分比率に応じて受けられる利益を指す。
急増した背景には「株式会社ポケモン」の存在がありそうだ。任天堂はこの会社の議決権を32%保有している。
株式会社ポケモンはポケットモンスター関連商品の販売などを行なっている会社で、2024年10月にリリースし、累計1.5億ダウンロードを記録した「Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」のプロジェクトに参画している。「ポケポケ」はモバイルゲーム開発のディー・エヌ・エー、トレカのクリーチャーズの3社が共同開発したものだ。
株式会社ポケモンの2024年度の売上高は前期の1.4倍となる4109億円、純利益は12%増の703億円と絶好調だった。2023年度の売上は3000億円に達していなかったが、瞬く間に4000億円を突破したのだ。













