『PLURALITY』第三の道を示す希望の書

『PLURALITY』日本語版刊行の前、私は李舜志著『テクノ専制とコモンへの道』を読み、「新たな帝国主義と自己利益を追求する究極自由主義。そのいずれでもない第三の道を示す希望の書」と推薦の言葉を寄せた。そして李舜志氏と対談した。『PLURALITY』も、まさにそのような本である。

同書の542頁には

「プルラリティは、リバタリアニズムとテクノクラシーを超えた第三の道なのだ」

とある。

つまり両著書は、同じ方向をさし示している。オードリー・タンは『テクノ専制とコモンへの道』への推薦文で、「社会の対立を前進する方法に変え、・・・共通の物語を紡ぎ直す方法」を示している書だと述べ、E・グレン・ワイルも「(PLURALITYの)レッスンを、学術的かつ日本的な視点から再構成したもの」と述べている。

オードリー・タン氏 撮影/もろんのん
オードリー・タン氏 撮影/もろんのん

『PLURALITY』は日本および日本の著者たちと関わり、響き合っている。

そう言えばかなり前のことだが、鈴木健著『なめらかな社会とその敵』を読んで、「何かが変わりつつある」予感をもった。

この本については『PLURALITY』に、「人々が複雑性を最大限に活かして生きることのできる、よりネットワーク的な社会を生み出すビジョン」と紹介されている。その鈴木健氏は『PLURALITY』の解説者でもある。

なぜ私がこのような、「複雑性」や「なめらかな社会」やリバタリアニズムとテクノクラシーを超えた第三の道に関心をもったのか。そこには二つの理由があった。