「国民民主から出たい」と急に言われました

「元々国会議員になりたい気持ちはあったそうなので最善の道を選んだんじゃないですかね」

さや氏についてそう話すのは「日本文化チャンネル桜」の水島総社長だ。保守系政治団体「新党くにもり」の代表でもある水島氏は、「SAYA」の名でチャンネル桜に出演していたさや氏と長く交流があった。

7月19日、銀座で演説するさや氏(撮影/集英社オンライン)
7月19日、銀座で演説するさや氏(撮影/集英社オンライン)
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だが2022年の前回参議院選の前にさや氏と経済評論家三橋貴明氏が水島氏を訪ねてきたことを機にさや氏のチャンネル桜出演は終わる。当選したさや氏を祝福した水島氏だが、この間の複雑な事情を語る。

「二人が一緒に社長室にいらして『国民民主から出たい』と急に言われました。(その)つい数ヶ月までは、さやさんは新党くにもりの事務所で『一生懸命手伝いをしたい』と言ってくれていたので驚きましたよ。

後から知りましたが、すでにその段階で(国民民主党から出馬する)ポスターなども作っていたそうです。

三橋さんからは『ここ(新党くにもり)では国会議員になれない』と言われました。また、『自分たちはあなたをお父さんのように思っている』『娘の言うことを聞いてやってくれ』と説得されましたよ。

私は『娘を変なところへ嫁に行かせられない。賛成はできない』と伝えました。その後、他の人たちの意見を聞いて出馬はなくなったそうです。気がついたら私のせいで出られなくなったかのようになっていたので、それは違うなあと」(水島氏)

7月20日、さや氏に当選確実が出た直後、事務所で話す三橋貴明氏
7月20日、さや氏に当選確実が出た直後、事務所で話す三橋貴明氏

2022年の参院選で参政党は50人の候補者を立て、神谷宗幣代表1人が当選。比例区の票獲得率は政党要件の2%を上回り政党交付金の支給を受ける政党となった。

その選挙でさや氏が新党くにもりを率いる水島氏と決別してまでも出ようとしたのは参政党ではなく国民民主党からだったというのだ。

2022年の参議院選が終わった後の8月、水島氏はチャンネル桜で、その経緯を詳しく話している。

同年4月5日にたずねて来たさや氏と三橋氏は国民民主党から「出馬することになった」と報告し、了承を求めてきたというのだ。これに対し水島氏は「裏切り行為になる」「賛成したらおかしいだろ。今までわれわれが批判してきた野党から突然出るって」と不快感を表明した。

さや氏と三橋氏側からは「国民民主は(当選の)可能性がある」と言われ、前述の通り、“父親として応援して”と頼まれたが、最終的には「賛成はできないが、1人の大人として頑張れ」と話したという。

ところがその翌日、さや氏から「社長、今回の参議院選挙出馬はあきらめます。くにもりも応援しています!娘より」という短いメールが届いたと水島氏は明かした。

背景として自分の関係者が“チャンネル桜の分断にもなるからやめてくれないか”と説得をし、さや氏がその場で出馬を取りやめると話していたことを後で知った、とも述べている。

7月19日、芝公園でのマイク納めで「わたしを皆さんのお母さんにしてくださーい」と叫んださや氏(撮影/集英社オンライン)
7月19日、芝公園でのマイク納めで「わたしを皆さんのお母さんにしてくださーい」と叫んださや氏(撮影/集英社オンライン)