「クレイジータンク!の巻」(ジャンプ・コミックス第29巻収録)
今回は、競馬仲間と一緒に競馬場に向かう両さんが、街を大パニックに陥れるお話をお届けする。
パニックの理由は、両さんたちの移動方法だ。彼らは米軍払い下げのM60A1(アメリカの1970年代における主力戦車の一種)と思しき戦車を駆って街中を闊歩するのだ。公道での戦車の自走は、事前に許可を取らない限り道交法違反になるはずなのだが……。なお、キャタピラによる走行は道を著しく痛めることになるため、普通はまず許可がおりない。
そんな本作が描かれたのは、1982年。両さんが飛ばされるのは、カンボジアの「最前線」だ。
1955年から1975年にかけて起こったベトナムの内戦・ベトナム戦争の激化に伴って、カンボジアでは1970年3月にクーデターが勃発。翌4月にベトナムで傀儡政権を成立させていたアメリカがカンボジアに侵攻し、二陣営に割れたカンボジアとの三つ巴の戦争を繰り広げた。
カンボジアとベトナムの対立は、中国とソ連の対立がその背後にあった。その後、独裁政権の樹立と暴走、ベトナム軍の侵攻・親ベトナム政府の樹立などを経て、ようやく1991年に一応の終戦を迎えた。
そういった時代背景を知っておくと、本作の読後感がひと味違ってくるかも知れない。
それでは次のページから、両さんの迷惑すぎる戦車による大進撃が巻き起こす騒動をお楽しみください!!



















