なぜ、「1番人気」を買い続けてはいけないのか
「レースは当てなきゃ意味がない」という思考から入ると、どうしても的中率の高そうな人気馬に頼りたくなります。特に負けが続いているときなどは、「オッズは低くてもいいから手堅く勝ちたい」「損さえしなきゃいい」という心理になりがちです。
しかし、「競馬で勝つ」ことを第一に考えるなら、これはあまりいい手とはいえません。厳しい言い方をすれば、「負ける競馬の入り口」だと思ったほうがいいでしょう。
ではなぜ、こうした「的中率を意識した」買い方・考え方をしてはいけないのか。ここについて、順を追って説明していきたいと思います。
たとえばあるレースに、イクイノックス(※2022~20023年にかけてGⅠ・6連勝を達成。2023年にはワールドベストレースホースランキング1位に選出される)が出走するとします。
ご存じの通り非常に強い馬ですので、そのレースで勝つ確率は50%ぐらいあるとしましょう。当然のように1番人気で、単勝オッズは2倍でした。
「このレースはこいつで決まりだ!」と、あなたはイクイノックスの単勝に1万円賭けたとします。予想通り1着になり、めでたく2万円の払い戻しです。
次のレースもまた、「損したくないから頼む!」と、1番人気のイクイノックスに単勝1万円を賭けました。……ですが、競馬に絶対はありません。今回は外れました。
賭けた1万円は流れ、2万円に増えていた資金は1万円に逆戻りです。回収率は100%。損こそしていませんが、勝ててもいません。
実際のレースデータは、もっとシビアです。
2024年のデータによれば、1番人気の馬の単勝回収率は年間で平均79%程度でした。つまり、1番人気の馬の単勝に毎回1万円を賭け続けると、最終的にはだいたい8000円になってしまうということです。
今回のレースは「たまたま勝った」としても、長期的に見たらどうなのか。
今回のレースが「もう一度行なわれる」としたら、結果はどうなるのか。
「レースが10万回行なわれる前提に立つ」のは、そのためです。10万回レースをした場合の平均的な回収率を考えると、1番人気の馬は“おいしくない”どころか、賭け続けると損してしまいます。勝ちたいのなら、1番人気の馬を買い続けるのは、理屈に合わないのです。