薄毛治療に限らず「早く結果が出てほしい!」と思う大人になってしまった

「薄毛治療はお金がかかる」ということはこの連載を始める前からなんとなく知っていた。しかし「時間もけっこうかかる」というのは、取材や資料を集めていくうえで徐々に分かってきたことだった。

具体的には「治療の効果が現れるまで3〜6ヶ月。改善を実感できるまでに6ヶ月〜1年。効果が安定するには約2年」という流れのようだ。

この漫画の主要登場人物たちの年齢は38、39歳。薄毛治療を始めたノブヒコとオオバヤシがそのまま治療を継続し、治療の効果を最大限に実感できるころには40歳になっている。この2年は彼らにとって長いだろうか、短いだろうか。

僕自身、近頃「この結果が出る頃には◯◯歳か…」と考えることが増えたのは、人生の残り時間を意識するようになったからかもしれない。

薄毛治療に限らず、遅く始めたことほど「早く結果が出てほしい!」と願ってしまうのが人間というものではないだろうか。

先日、合気道の体験をするために地域のスポーツセンターに行った。新年の誓いとして、ずっと気になっていた運動不足を改善しようと決めたのだ。

合気道を選んだのは、小学生のころに数年だけ道場に通ったことがあり、全く新しいスポーツを始めるよりは少しだけハードルが低く思えたからだった。

ひさびさの合気道の稽古は楽しかった。道場には80代から小学生まで幅広い年齢層の人たちがいて、自分の年齢やブランク(まるっきり初心者に戻っていた)も気にならなかった。

先生も袴をつけた有段者の方々も、その他の道場の皆さんも優しかった。なによりパソコンやスマートフォンから完全に離れて汗をかくのが気持ちよく、体験の中盤には入門することを決めていた。帰り道の夜風が心地よかった。

ところが翌朝、布団から出ようとしたところで右膝が曲がらなくなっていることに気がついた。楽しいと思えば思うほど、心のどこかで(もっと上手に体を動かせるようになりたい!)と焦ってしまったようだ。(あのカッコいい袴をつけるまで何年かかるのかな〜)などと考えていたような気もする。 

残された時間が多かろうが少なかろうが、「急がば回れ」に変わりはないということがよくわかりました。こちらからは以上です。

文/トリバタケハルノブ

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トリバタケハルノブ まんが家/イラストレーター。まんが業→「トーキョー無職日記」「ことわざたずね旅(朝日小学生新聞にて隔週連載中)」「酒場はじめます(作画)」など。
イラスト業→「のぞき見探偵が行く!(月刊ジュニアエラ)」「ぶらぶら美術博物館おさらいイラスト(BS日テレ)」「戦国ベースボール」「こども戦国武将譚」 ほか。