現代のもっとも重要なビジュアルメディア

日本ではマンガの原画展が開かれることは一般的であるが、世界的にはマンガはアートとしてはまだ評価が定まっていない。

記憶に新しいのが、2019年にイギリス大英博物館で行われた「The Citi exhibition Manga」展だ。日本国外としては空前の規模で行われたマンガ展では、葛飾北斎や河鍋暁斎(かわなべきょうさい)など江戸時代の絵師から、手塚治虫、鳥山明、井上雄彦ら、現代までのアーティストの作品が集められ、17万人以上を集客、大成功を収めた。

そこから6年、世界中のあらゆる場所でますます人気と注目が高まる日本のマンガ。このたび2025年の9月にアメリカ大陸では初となるマンガ展「Art of MANGA」展が開催されるという知らせが届いた。

アメリカ大陸初の “マンガ”展覧会が秋に開催! 荒木飛呂彦、尾田栄一郎、高橋留美子、田亀源五郎、谷口ジロー、ヤマザキマリ、山下和美、よしながふみら8人のマンガ家の原画700点超えを圧倒的スケールで!_1
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会場となるのはカリフォルニア州サンフランシスコのデ・ヤング美術館。同州の最大の公立芸術機関「ファイン・アーツ・ミュージアム・オブ・サンフランシスコ」が主催する。

「Art of MANGA」では、日本の出版社やプロダクションが垣根をこえて協力、現代日本を代表する人気マンガ家8名による700点を超える原画を展示。そしてその多くが、アメリカでは初公開だという。

荒木飛呂彦、尾田栄一郎、高橋留美子、田亀源五郎、谷口ジロー、ヤマザキマリ、山下和美、よしながふみ合計8人の原画などを個別展示。それに加えて、赤塚不二夫、ちばてつやに学ぶマンガの歴史から、田名網敬一(たなあみけいいち)作品に見る、マンガの新しい活用法による未来への展望も語られる。

会期は2025年9月27日(土)〜2026年1月25日(日)までの予定。

これまでアメリカ大陸では、コミコン等での小規模な展示にとどまっており、総合的なアートとしてマンガを取り上げた展覧会は開催されたことがなかったが、アメリカ大陸の美術館として初めてデ・ヤング美術館が焦点を当てた。

これを機に日本のマンガ文化がさらに世界で評価されることを願うばかりだ。

ディレクターからのメッセージ

「画像によるダイナミックな物語表現であり、世界中で何百万人もの読者を魅了するマンガは、現代のもっとも重要なビジュアルメディアのひとつです。サンフランンシスコは長い間、米国における日本との文化交流の入り口であり続けてきました。その場所で「Art of MANGA」展を開催し、マンガというナラティヴアートの芸術性とパワーを紹介しつつ、その伝統を讃えることができ、うれしく思います」ファイン・アート・ミュージアム・オブ・サンフランシスコ、ディレクター兼CEO トーマス・P・キャンベル