テレビ局のディレクターに無理やりホテルに連れ込まれて
14歳で、田舎から出てきて芸能界にデビューした私は、本当に右も左もわからない、世間知らずで、頭が空っぽの子どもでした。
やっとお酒も飲める年齢になったころ、ある民放のテレビ局の連続ドラマに出演していて、その番組のディレクターから食事に誘われたことがありました。どこの局とは言えませんが、フジテレビではありません(笑)。
食事をご馳走になって、お酒も飲んで、タクシーに乗せてくれるので、家まで送ってくれるのかなと思って乗り込んだら、着いたところはホテルでした。
でも当時の私は、本当に子どもでバカでしたから、その意味がよくわかっていなくて、のこのこ付いていきました。
ホテルのバーで飲むのかな、と思っていたら、いきなり客室に連れて行かれました。それでも私はまだ事態を理解していませんでした。
部屋の中で飲み直すのかな、くらいに思っていたのです。部屋の中で、最初どうしていたかは、よく覚えていません。

その後、わけがわからないまま押し倒されて、ほとんど抵抗する余地もありませんでした。でも、レイプとか性的暴力と言うことはできません。本当に何が起こったのか、はっきりと思い出せないくらいだったので。
明け方、一人で家に戻ったあと、後悔の念ばかりが押し寄せてきました。子どもだった私は、ただただ自分を責めました。自分が悪いんだ、自分の責任だと、それからしばらくの間、ずっと自分を責め続けました。
女性の場合、明らかなレイプでない限り、相手が悪いという発想は浮かばないのではないでしょうか。
このような経験は、私が特別だとは思いません。私たちは、そういう危険な世の中に生きているんだと思います。今、あの時のことを思い出すと、その程度の男とその程度のことをしたとしか思っていません。
性的な対象として見られる「世間の目」が苦痛だった
私は、デビュー以来、映画で裸になる作品が多かったので、性的な対象として見られることが、すごく多かったんです。
映画で裸になっているシーンの写真が出回ったりもしましたし、「誰と付き合っている」という話も、性的な対象として噂が出回ったり、記事になったりしていました。
お仕事上のお付き合いのある人とも、ときどき危ない目には遭いましたが、よく聞くような「枕営業」とか、それを断ったら仕事を干されるとか、そういうことはありませんでした。私個人は、そのようにして築いたキャリアは、砂上の楼閣だと思っています。
新幹線のホームに立っていても、男の人たちから、ものすごく舐めまわすような視線で見られて、気持ちの悪い思いをしたことも何度もありましたし、実際に卑猥な言葉を投げかけられることもありました。
「このままじゃ、外を歩けない」と思うほど、私を性的な対象として見ている世間の目が、苦痛でした。
「ひどい世の中だな」と、世の中を恨んでいました。外に出るときには、サングラスをかけて、帽子を目深にかぶり、顔を隠して歩いていました。いつも、コソコソ逃げ回ってばかりでした。