まさかのキャリア転換。「漫画家引退」宣言について

――赤坂先生が『【推しの子】』連載中、そして『かぐや様』連載終了にあたって2022年に発表した「漫画家を引退し、漫画原作者に専念する」宣言は大きな話題を呼びましたが、改めてこの決断について伺えますか?

赤坂アカ(以下同) 「たくさん作品を描きたい」っていう気持ちが強かったんです。僕は作画に時間を取られてる間に「ネームを描きたい!」って思っちゃうタイプなので。

――原作と作画を分けた漫画も少なくありませんが、作画をしないと宣言したのには大きなインパクトがありました。

時間の問題が第一ですが、自分よりも絵がうまい人はたくさんいますからね。本当に自分で描きたいときは描くかもしれませんが、「絵を描くのはもう趣味でいいや」という部分はあります。

『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』より ©︎赤坂アカ/集英社
『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』より ©︎赤坂アカ/集英社
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――同業者の方から反応はありましたか?

漫画家同士なので「なんで言ったの?」と聞かれ、「作画したくないから」と答えたら、それで終わりです(笑)。

――プロ同士、多くは語らない……(笑)。

ただ、そういう意味では、僕は「自分で絵を描きたい」人の気持ちを分かっていないのかもしれないとも思います。僕の漫画家としての始まりは「お話を作りたい」だったんです。逆に他の漫画家さんたちに聞いてみたいですね。「漫画原作者になれる」と言われたら、なりますか?って。

――確かに、その答えは気になりますね。

僕の宣言が大きく扱われたのは、漫画家全体として「絵を描くのが好き」って人が多いからな気がしますね。たぶんそういう人たちは、お話を作りたい気持ちと、絵を描きたいって気持ちの両方を同時に解消したいタイプなんじゃないかと思うのですが、僕はネームで「このキャラかわいいな」って思えるタイプなんです。

――なるほど。

集英社の担当編集さんへのメッセージだったんですよね。「僕はもう絵を描きませんよ」っていう(笑)。「それでもよければ一緒にお仕事しましょう」って。