「“ドラえもんやってるから仕方ないでしょ”っていってるの」

長年のパートナーであった砂川さんとの仲むつまじい様子は、過去のインタビューからも読み取れる。ドラえもん役を担当していた際、彼女が“ドラえもん体型”に近づいたことについて、次のようなやりとりがあったそうだ。

「よくアテレコというけど、アニメの場合は“見てレコ”なのね。無音のフィルムを見て声を合わせるんです。私マイクから離れて声を出すので、すごくお腹が空くの。だから口に出せないほど太っちゃって。ドラえもんの体型にだんだん近づいていくみたい。主人(砂川啓介)に“あと2キロ太ったら離婚だ”と宣言されてるんですよ」(集英社『週刊明星』1980年1月27日号)

「家でも脚を開いておなかを出し、口を横に広げて喋ってるらしいのね。でも、“ドラえもんやってるから仕方ないでしょ”っていってるの」(集英社『週刊明星』1980年1月27日号)

また、1979年ごろにはテレビ朝日の看板番組として高視聴率を記録していた「ドラえもん」だが、その裏には大山さんのたゆまぬ努力があったそうだ。

(出典:集英社『週刊明星』1981年4月30日号)
(出典:集英社『週刊明星』1981年4月30日号)
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彼女は当時の様子について「掛け持ちはやらない。好きなタバコも日に20本から10本に、しかもフィルターつけて。刺激のある食べ物は一切食べない」とその禁欲生活を語り、現場スタッフも「ふつう声優サンの場合、リハーサルの当日までセリフに目を通すことはない。だけど、彼女はその段階で、すべてのセリフを叩き込んでいる」とプロフェッショナルとしての姿勢を当時から評価していたのだ。(集英社『週刊明星』1979年10月21日号)