お祭りみたいな一大行事だったのに…

中でもCさんは、6年生が大トリで披露する組体操がなくならないでほしいという。

「毎年、楽しみにしています。最近、ケガの危険があるという理由から、組体操を種目から外す学校が増えてきていますが、昔からこの地域に住んでいるママ友は『学校の伝統だからなくさないでほしい』と言っています。

これは、ママ友の中でも意見が割れていて、『危ないし、もしケガをしたら勉強に差し支えるからやめてほしい』と言っている人もいます。私は残してほしいですね。もし、組体操をなくしたら『代わりに何をやるの?』という感じです。私の娘も来年6年生になるので、『早く私も組体操やりたい』と言っています」

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長男が都内公立中2、長女が都内公立小2の母・Dさん(30代)も、コロナ禍以前の一日がかりの運動会が楽しみだった。

「小2の娘の運動会は、上の子のときとは大違いでびっくりですね。あまりの違いに戸惑いました。『え、これが運動会なの?』って。上の子が小学生のときは、コロナ禍前だったので、運動会は全校児童で行う一大行事でした。小学校の運動会って幼稚園や中学校にはない、お祭りみたいな感じがあったんですよ。

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場所取りとか面倒なこともありましたけど、PTA種目や保護者同士の交流もあって楽しかったです。何より、子どもの様子を1日参観できる行事ってあまりないじゃないですか。だから、毎年家族みんなですごく楽しみにしていました」

それが今は、教室でお弁当を食べるし、2学年ずつに分けての開催なので時間も短いし、参観できるのは両親と祖父母のみになってしまった。学年によって集合時間と解散時間が違うので、兄弟がいる子は終わるまで教室で待たされるという。

“縮小化”が進む運動会に、親たちは「時代の流れで仕方ない」と一定の理解はしながらも賛否は割れていた。では教師たちはどうだろうか…後編では教師たちの“ホンネ”を聞いた。

取材・文/なかのかおり 集英社オンライン編集部ニュース班