「洗眼器」や「腰洗い槽」が廃止になった理由は?

プールサイドに目を洗うための蛇口として設置されていた「洗眼器」や、身体を消毒するために高濃度の塩素が入った水が張られた「腰洗い槽」。これらは現在、多くの学校で廃止されているとのことだ。一体、なぜ廃止されることになったのだろうか?

これら「令和のプール事情」に迫るべく、まずは都内某区の教育委員会の担当者に聞いてみた。

「昔のようにプールの前に腰洗い槽に入ることはないですが、今でもシャワーで身体を洗い流してからプールに入ることになっています。腰洗い槽がなくなった理由は、シャワーで身体を洗えば衛生的に問題ないといわれているからです。 

また、昔と違ってプール後に洗眼器で目を洗うことも推奨していません。理由は目を洗うことで、傷がついてしまう可能性があるからです」 

時代の変遷に伴い、小学校のプール利用に関する実態も変化してきた
時代の変遷に伴い、小学校のプール利用に関する実態も変化してきた
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また、最近はプールの授業が「暑すぎて中止」になる日もあると話題になっている。これについて同区の担当者は、学校のプールでの熱中症対策をこう語る。

 「各学校に常備されている機械で暑さ指数(WBGT)が31以上になった場合は、学校での運動を禁止するきまりになっています。その際は、プールの授業や屋外での体育の授業だけでなく、休み時間の外遊びや屋外でのクラブ活動等も禁止になります」 (前出)

別の区の担当者は洗眼器についてこう語った。

「洗眼器の使用については、教育委員会から禁止はしていません。ただ、東京都が作成している『水泳指導の手引き』を通じて『必ずしも使用しなければいけないものではない』ということを周知しています。

洗眼器の水圧が強すぎると目に悪影響が出る場合もあるため、使用については適切に対応する必要があります。たとえば、プールの授業の際に『目が痛い』というお子さんがいた場合は、洗眼器で塩素を洗い流す対応も考えられます。

(写真はイメージです)
(写真はイメージです)

 また、腰洗い槽は衛生面で効果がないことが判明したため、今は基本的にどこの学校でも使用されていません。

ゴーグルやラッシュガード、プールサイドでのビーチサンダルなどの使用について、規定は定められていませんが、学校の実態に合わせて、着用や使用の仕方を工夫して安全管理を図るようお伝えしています」