スリーポイントを世界レベルに

カギとなるのはやはりシュート成功率だ。「精度を上げるために、体幹トレーニングやピラティスにも取り組みました」

さらにシュートフォームも改善した。「以前は、自信のなさから助走距離を長くとり、スピードを出していましたが、逆に助走距離とスピードを抑えて、ラインギリギリから真上に放るように変えました」

シュートの成功率は上がり、スリーポイントシュートにも磨きをかけた。2023年の世界選手権ではスリーポイントシュートの個人ランキングで2位に。「スリーポイントは、間違いなく私の武器です。それが自信です」

ピンクのネイルで放つスリーポイントシュート…“負けず嫌い”が挑む二度目のパラリンピック 車いすバスケットボール柳本あまね_3
すべての画像を見る

さらなる進化で東京からパリへ

東京パラリンピックでは、全試合でスタメンの座を勝ち取った。「リオでの挫折を経験した私にとって、めちゃくちゃデカかったし、大きな自信になりました」

次のパリ大会に向けて、さらなる成長をとげようとしている。「今はガードを任されていて、コーチからもキャプテンからも『あまねらしくやってくれたらいいよ』って言ってもらって」ガードとはオフェンスを組み立てるいわば司令塔。重要なポジションだ。

「最終予選では自信を持って指示を出せたり、自分が迷いなく打てたりしましたし、パスのタイミングなんかも、ガード力という点ではちょっとは成長してるかな、と。自分のためにとか、自分が得点するためにとかではなく、チームのためにどれだけ自分が貢献できるか、そこにシフトチェンジしています」

その表情は、チームを牽引する中心選手のものだ。

ピンクのネイルで気合いを入れる

メイクやおしゃれも大好き。「大会でのネイルは絶対ピンク!」と指先を掲げる。「試合中ネイルを見るとやる気が出ます。特にピンクは自分らしさを取り戻せる色で、安心するんです。イラっとしたときも見るし(笑)」パリでは、髪の色も鮮やかなピンク色にする予定だという。

車いすバスケは「人を明るくしてくれる」

車いすバスケには深く感謝しているという。「自分を変えてくれた存在やから、もう間違いなく。大好きですこの競技が」

さらに平等なところが好きだと語る。「障害がある人、ない人関係なく、1個の車いすに乗るだけで、全員が同じ競技で楽しめます。障害の重さによる持ち点という制度で、だれもが平等に活躍できる機会があるところがいいですね」

そして笑顔で続ける。「私は車いすになって、すごい自信がなくなってたんです。でも車いすバスケに出会って、これだけ明るい性格になった。車いすバスケは、“人を明るくしてくれる競技”だと思います」

今日も元気な声がコートに響いている。

取材・撮影/越智貴雄[カンパラプレス]

オリジナルサイトで読む