「“農じまい”こんな事を農家に言わせてはならない」

全国の「百姓」を自称自認する農家に加え、幅広い年齢層のさまざまな人たちが集まった。中高年層が多いものの、若者や幼い子どもを連れた家族の姿も目立ち、農政の課題と消費者問題が完全にリンクしたことを実感させた。

「一揆」の実行委員会代表で山形県の専業農家・菅野芳秀さん(75)は、「山形県では私が農家の期待の“若手”のホープです」と自虐的な挨拶に続いて、こう訴えた。

約4500人が結集した「令和の百姓一揆」(撮影/村上庄吾)
約4500人が結集した「令和の百姓一揆」(撮影/村上庄吾)
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 「農民が消え、このままだと間違いなく農業は滅びゆく。そう言っても言い過ぎではないと思います。農業が滅んで困るのは私たちではなく国民です。だからこそ、まだ農民が残っている今、日本の国民とともに農業を変えていかなきゃならないと思っています。

農家の間では墓じまいならぬ“農じまい”、そんな言葉があります。こんなことを農家に言わせてはならない」

ヒートアップして「そうだ、そうだ。現状を見せつけろ」と強い口調で声を上げる聴衆や、指笛でエールをおくる男性の姿もあった。

「一揆」はこの後、午後2時半にトラクターのデモ隊が出発。続いて午後3時20分、発起人の元農林水産大臣・山田正彦さん(82)が決意表明を述べ、ホラ貝の合図とともに人々のデモ行進が始まった。