Aさんが遺した「陳述書」の内容
しかし、ここから知事周辺はとんでもない反撃に出る。
「押収したパソコンに入っていたAさんのプライベートなデータをプリントした資料を4人組の中の人物が持ち歩き、県OBや県議に見せて歩いたんです。その事実が伝わりAさんはひどく緊張しました。私的な内容を加工して流布することでAさんを貶め、信用に値しない人物だとの印象を広めようとする意図と見えます。
実際に資料を見せられた一人は憤慨し『百条委で証人尋問が始まればこのことを証言する』と言っていました。その百条委では維新の岸口実県議らが、パソコンの中の資料を全部開示しろと要求。さすがにこんなめちゃくちゃな要求は通りませんでしたが…」(県職員)
だが、Aさんは証人として証言することが決まっていた7月19日の百条委を前にした7月7日、今は空き家になっている姫路市内の生家で自死しているのが見つかった。
こうした選択に至った理由の推測はできないが、斎藤知事は「百条委への精神的なプレッシャーがあったと思う」と話している。
だがAさんは百条委に向け、出席したときに自身が言えることを「陳述書」と名付けた問答の形で詳細に遺しており、百条委から逃げたわけではない。
Aさんの妻は7月12日、この文書を含む資料を百条委側に提出。
そこに「主人がこの間、県職員のみなさんのためをと思ってとった行動は、決して無駄にしてはいけないと思っています。主人が最後の言葉を残していました。そこには“一死をもって抗議をする”という旨のメッセージとともに、19日の委員会に出頭はできないが、自ら作成した『陳述書』および参考の音声データの提出をもって替えさせてほしいこと、そして百条委員会は最後までやり通してほしいことが記されていました」と書き添えた。
さらにこれらの資料は公開もしてほしいとの希望を伝達し、傍聴者とメディアが席を埋めた19日の委員会で公開された。
A4用紙で12枚になる資料では、予想通り“被害者”が多いたかりとパワハラ問題の情報が多く書かれていた。それだけ情報が集まったのだろう。最もリアルなたかりの現場は音声も残されていた。
2022年11月7日の「西播磨地域づくり懇話会」と銘打たれたイベントで斎藤知事は「ワインをちょっとまだ私は飲んでいないのでぜひまた。このあいだはイチゴ、ジャム、塩はアレですけど、また折を見てよろしくお願いします」と悪びれもせず朗らかに地ワインを要求している。
「知事が地元の特産品を試食してみたいというのは、イベントなどその場で口にするのならPR目的であるため理解できます。しかし斎藤知事の要求は“後で持ってこい”なので、個人的なたかりと言われても仕方ありませんね」(在阪記者)