「文書を作って流す行為は公務員としては失格です」

Aさんは3月12日、①昨年11月の阪神とオリックスの優勝祝賀パレードの費用をねん出するため県が信用金庫に補助金を増額しそれをキックバックで寄付させた、②昨年7月の斎藤知事の政治資金パーティー券の購入を、片山安孝副知事らが関係団体に補助金の減額をちらつかせ強要した-などとする7項目の疑惑を並べた文書を県警や県議会、メディア関係者ら約10人に送付した。

7月24日に会見した斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
7月24日に会見した斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
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これを県は察知し、名指しされた疑惑の当事者で牛タン倶楽部の一員でもある片山副知事が3月25日朝に西播磨県民局長室を突然、訪れてAさんのパソコンを押収。その中から告発文書のデータを発見した。

「Aさんはパソコンが押収された直後の3月25日の昼前、別の県幹部に対して『告発文書は自分一人で作成した。他に関係者はいない』と電話で通告し、翌26日には県側と電話で『情報入手経路についての漠然としたやり取り』をした、と書き残していますが、これ以外に県からは告発文書の内容の真偽への考えや動機について全く聴取を受けていない、と言っていました。

Aさんは自死する直前まで文書の中身は嘘ではないと言い続けていたので県の聴取を受けたと思われていましたが、県は3月下旬の段階で本人の言い分を聞く機会をまったく設けていなかったようです」(Aさんの知人)

ところがパソコン押収の2日後の3月27日の会見で、斎藤知事は文書の中身を「嘘八百」と断定しながらこう発言した。

「人事担当の片山副知事とも相談しながら対応したということになりますけど、職務中に職場のPCを使用して、ありもしないことを縷々(るる)並べたような内容を作ったっていうことを本人も認めてますから」

「やっぱり公務員ですから、いろいろあるにしても、選挙で選ばれた首長の中で、みんなが一体として仕事をしていくことが大事なので、それを、なんか不満があるからといって、しかも業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格です」

そして県は同日Aさんを県民局長職から解き、3月末での退職希望を保留して認めず、5月になって停職3か月という懲戒処分を出している。

「Aさんは4月4日になって県の公益通報窓口に告発文書と同じ内容の通告をしています。そもそも公益通報者保護法ではメディアへの情報提供も公益通報と認められており、告発文書の存在を知った時点で県はAさんへの不利益になることをしてはならなかった。

少なくとも4月4日の窓口への通告後は保護対象であったのに、そうした法を無視して懲戒処分を強行したのです」(県関係者)

Aさんが3月に作成した告発文書。7月19日に兵庫県議会百条委で一部黒塗りで公開された(集英社オンライン撮影)
Aさんが3月に作成した告発文書。7月19日に兵庫県議会百条委で一部黒塗りで公開された(集英社オンライン撮影)