米大統領暗殺を企てた犯人に多い共通項

7月13日(日本時間14日)、ペンシルベニア州の小さな町・バトラーでの集会で演説していたトランプ前大統領が銃撃され、軽傷を負いました。流れ弾で集会参加者1人が死亡、2人が重傷を負っています。

犯人は犯行直後に大統領警護担当の狙撃手(おそらく国土安全保障省シークレット・サービス隷下の対狙撃班CSの隊員)が射殺しました。同州のべセルパークに住むトーマス・マシュー・クルックスという20歳の白人男性と報道されています。

ベセルパークとバトラーはわずか60km、自動車で1時間程度しか離れていないので、ほぼ「地元在住の若者」の犯行になります。

昨年、アイオワ州の演説会場でトランプ前大統領の警護にあたったシークレット・サービスの男性(写真/shutterstock)
昨年、アイオワ州の演説会場でトランプ前大統領の警護にあたったシークレット・サービスの男性(写真/shutterstock)
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本稿執筆時点で彼についてわかっているのは、共和党の有権者登録をしていることと、2021年にバイデン大統領が就任した時に民主党左派系団体に15ドルを寄付したことがあるということぐらいです。

犯人の動機や政治的信条については今後の情報待ちですが、ほぼ地元在住ということから、トランプ氏をつけ狙って外部から来たわけではないことや、少なくとも銃撃は単独で行われたこと、そして20歳という年齢などから、今のところは特に組織的な背景は浮上しておらず、単独暴発型の可能性が大きいという印象です。

じつは米国史を振り返ると、これまで大統領や大統領候補の暗殺・暗殺未遂では、必ずしも政治的な動機によるものばかりではなく、妄想を動機とするような単独犯行が少なくありません。

たとえば、米国ではこれまで計45人の大統領がいましたが、うち4人が暗殺されています。①エイブラハム・リンカーン(1865年) ②ジェームズ・ガーフィールド(1881年) ③ウイリアム・マッキンレー(1901年)、そして⓸ジョン・F・ケネディ(1963年)です。

1963年、ジョン・F・ケネディとリー・ハーヴェイ・オズワルドの暗殺に関する新聞とライフ誌(写真/shutterstock)
1963年、ジョン・F・ケネディとリー・ハーヴェイ・オズワルドの暗殺に関する新聞とライフ誌(写真/shutterstock)

リンカーン暗殺犯は南部独立派、ガーフィールド暗殺犯は精神的な問題を抱えた人物、マッキンレー暗殺犯はアナーキストでした。

周知のようにケネディ暗殺の真相はまだ謎で、真相がわかっていません。なお、ケネディの実弟のロバート・ケネディ元司法長官も1968年に民主党大統領候補だった時に、ロサンゼルスのホテルでパレスチナ系移民に射殺されています。